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松永「東京ではメダルを」 20キロ競歩、7位日本勢初入賞

男子20キロ競歩で7位に入った松永大介(中央)=隈崎稔樹撮影

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 東京五輪へ新星が現れた。日本勢で最初にゴールに飛び込んできたのは最年少21歳の松永だった。「メダルを狙っていたので悔しい。4年後の東京ではメダルを取りたい」。初の五輪で7位。20キロ競歩で日本人初入賞を果たしても満足できなかった。

 スタート直後から先頭集団の前を歩いた。「世界の舞台でこんなに前を歩けるなんて楽しい」。13キロ付近から中国勢が仕掛けてくる。世界トップの駆け引きを味わう。「これが世界レベルかと思った」。しかし、ここで耐えられるのが松永の強さだ。残り2キロ。ズルズル後退することなく、最後まで戦い抜いた。

 神奈川・横浜高1年のとき、自ら希望して競歩を始めた。陸上部顧問の田下正則さんは「物事をやり遂げる芯の強さがある。(強豪の)野球部からも一目置かれていた」と評する。

 2年時の高校総体5000メートルでは、2000メートル地点でアクシデントがあり、左足の靴が脱げた。右足は靴を履き、左足は靴下の状態。気温35度を超える灼熱(しゃくねつ)の中、トラックの地表は熱をもち、普通なら靴下1枚では歩けない。「熱さや痛みより、絶対に負けたくなかった」。足裏はやけどで水膨れ。それでも根性で歩き切った。

 2014年、世界ジュニア選手権(米国)1万メートルで金メダル。昨年のユニバーシアード(韓国)は銅メダルを獲得した。「僕は海外のレースが好きだし、楽しみ。力を発揮できる」。物おじせずに、強心臓で立ち向かう。

 確かな手応えと世界との距離を知った。「いろんな経験ができた。でもこんなレースでは東京で勝てない」とさらなるレベルアップを誓った。

 (森合正範)

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