紙面から

エジプト選手、イスラエルの相手と握手に応じず

柔道男子100キロ超級で試合後にイスラエルのサソン選手(左)の握手を拒むエジプトのエルシェハビ選手=12日、リオデジャネイロで(AP・共同)

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 リオデジャネイロ五輪の柔道男子100キロ超級が十二日あり、一回戦でイスラエルのオル・サソン選手(25)に敗れたエジプトのイスラム・エルシェハビ選手(34)が、試合後の握手を拒否した。会場のイスラエル応援団はブーイングで非難した。

 大会組織委員会の広報担当者は同日にあった定例会見で「(握手拒否は)許されないことだ。何が起きたか調べる」と述べた。

 合わせ技一本で勝ったサソン選手が握手しようと手を差し出したが、エルシェハビ選手が応じなかった。エルシェハビ選手は拒否の理由を明かさなかったが、AP通信は、同選手がエジプト国内のイスラム勢力や民族主義的勢力などから試合をしないよう圧力をかけられていたと報じている。

 会場にいたイスラエルの新聞記者は「スポーツに政治や戦争を持ち込むのは許せない」と話していた。エジプト人の男性は「気持ちは分かるが、世界が見ている前でそういう姿をさらすのは恥ずかしい」と語った。

 エジプトはイスラエルと国交がある国だが、一九四〇年代から七〇年代にかけての四度の中東戦争などで対立した歴史があり、パレスチナ問題などを理由に、反感を持つ国民が多いとされる。

 (中野祐紀)

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