紙面から

<サンバの鼓動> 祭典後も平和な街に

 リオデジャネイロ北西部にあるデオドロ地区の五輪会場内で昼食を食べていると、隣に座ったブラジル人の若者が話し掛けてきた。「ここは安全だから、何も心配しなくてもいいんだよ」

 なるほど、世界の評判を気にしてか、ブラジル政府は最近、リオ市内の治安対策に手を尽くしている。五輪会場ともなれば、武装した警官や兵士があちこちにいるし、あまり緊張することなくカメラを取り出して記念撮影もできる。

 一方、市内を車で移動していると、ファベーラ(貧民街)の近くを通るたび、通訳を頼んだ地元の女性に「盗まれるからスマートフォンを見られないようにして」「ドアの鍵を閉めて」などと注意される。

 「平和って、こういうことを言うんだろう」。あの若者がうれしそうに語った平和な街の姿が、五輪中だけでなく、当たり前になってくれるといいのだが。 (磯部旭弘)

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