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卓也、アジアの誉れ カヌー銅

羽根田卓也選手に声援を送る日本人応援団=9日、リオデジャネイロで(佐藤哲紀撮影)

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銅メダルを獲得し、感極まり涙ぐむ羽根田選手(中央)=9日、リオデジャネイロで(佐藤哲紀撮影)

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 【リオデジャネイロ=中野祐紀】リオデジャネイロ五輪のカヌー・スラローム男子カナディアンシングルで銅メダルに輝き、歴史を切り開いた羽根田卓也選手(29)=愛知県豊田市出身。アジアの国の代表選手として初めての快挙にスタンドは歓声と足踏みで揺れた。

 息子の欧州留学を後押しした羽根田選手の父邦彦さん(57)は「『メダルを取る』と言って頼んできたあいつを信じた俺が正しかった」。表彰台で両手を掲げる息子と目が合うと、ほほを涙が伝った。

 カヌー強国とあってスタンドに大勢いたスロバキア選手の応援団からも「タクヤ」コールが上がった。十年以上拠点を置くスロバキアでは羽根田選手は有名人。公立カヌークラブのコーチ、ペトル・チケルさん(29)は「アジア初の栄冠をタクヤが取ってくれて、本当にうれしい」と満面の笑み。日の丸を掲げる日本の応援団と一緒に、自国の旗を振り「ブラボー」と叫んだ。

 スポーツ庁の鈴木大地長官も応援に駆けつけ、歓喜の瞬間を味わった。メダルが決まると、両手を突き上げて「やった」と大声。「東京五輪に向けて最高の弾みになった。快挙の裏にはすさまじい努力があるに決まっている」と目に涙をためた。

 翌日に自身の準決勝、決勝を控えたカヌー男子カヤックシングルの矢沢一輝選手(27)も見守った。北京、ロンドン、リオと三大会連続で共に出場してきた長年の競技仲間。「北京で一緒に惨敗した後、『いつか決勝の舞台で輝くぞ』と誓い合った。一足先に実現してくれた」と語った。

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