紙面から

亡き母に東京での雪辱誓う 競泳・今井選手 

女子200メートル個人メドレー準決勝で敗退し、引き揚げる今井月選手=8日(今泉慶太撮影)

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 涙がこぼれ落ちる。八日の競泳女子、200メートル個人メドレー準決勝で十五位に終わると、今井月(るな)選手(15)=岐阜市出身、愛知・豊川高一年=は「悔しい」。八年前に三十八歳で急死した母リサさんへの思いとともに挑んだレースで目標の決勝進出は果たせなかった。

 五月末、岐阜市の自宅近くにあるリサさんの墓を父博美さん(50)と訪れた。「母にも応援してもらいたいから」と大事なレースを迎える前には必ず立ち寄る。「いつもありがとう。次は五輪で頑張る」。そう声をかけた。

 三歳から水泳を始めると、リサさんは大会のたびに朝早くから会場に並び、応援席に陣取った。「母は負けず嫌い。レースになればタイムを気にしていて…」。負けん気の強さは母譲りだ。

 リサさんが心臓の不調が原因で自宅で亡くなったのは今井選手の八歳の誕生日のことだった。約七カ月後、全国大会には、リュックのポケットに母の遺影を入れて臨んだ。会場で知った博美さんは「やっぱり一緒に来たかったんだな」と泣けてきたという。

 今井選手は亡き母のことを「頑張れる源みたいになっている」と話す。「五輪は家族みんなの夢。一緒にいい舞台にしたい」。そんな思いから、初の五輪には海外での大会では初めて母の写真を持ってきた。

 「四年後は東京で(五輪が)あるので、絶対にこんな悔しい思いはしないように頑張りたい」。十五歳。二〇二〇年は母に成長した姿を見てもらうつもりだ。(磯部旭弘)

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