紙面から

止まらぬ進化 池江選手、日本新連発

競泳女子100メートルバタフライ決勝で日本新をマークし、6位となった池江璃花子選手=7日、リオデジャネイロで(今泉慶太撮影)

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 ゴーグルを外して見上げた視線の先に目標のタイムがあった。こみ上げる達成感に、ほんの少し白い歯がこぼれる。予選、準決勝、決勝と三回連続で日本記録を更新した池江璃花子選手。メダルには届かなかったが、未来のヒロインへ、日本中に可能性を示した。

 レースごとに記録を更新する規格外の十六歳。その体づくりを支えたのは、母親の美由紀さんだった。

 自宅の浴槽で出産した娘。「物を握ると脳の発達にいい」と聞き、幼いころから自分の指を握らせ、ぶら下がらせた。体が大きくなってから、雲梯(うんてい)へ移行。池江選手が小五のころ、自宅にも設置した。水泳に生きる肩の柔らかさは「もしかしたら雲梯のおかげかな」と振り返る。

 五輪出場を決めてから、盛んにマスコミに取り上げられる。プレッシャーは増すばかりだが、美由紀さんが幼いころから教えてきたというイメージトレーニングではね返す。

 決勝の前、イメージしたのは、メダルを争いながらタッチする瞬間。「緊張したけど、リラックスして泳げた」。表彰台には届かなかったが「目標の56秒台を達成した喜びのほうが大きい」と語る。

 スタンドから見守った美由紀さんも、ゴールの瞬間、周りと抱き合って喜んだ。「順位は特にこだわらず応援していた。期待したタイムが出てうれしかった」と笑みを浮かべた。 (福田真悟)

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