紙面から

池江、進化の6位 物おじせずフル加速

女子100メートルバタフライ決勝 力泳する池江璃花子=佐藤哲紀撮影

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 最高峰の舞台に立っても、16歳は物おじしなかった。女子100メートルバタフライ決勝。力の限りキックを打つ池江が、グングン加速する。世界の強豪の中、6位でゴール。56秒86。準決勝で更新したばかりの日本新記録をまた塗り替える大健闘ぶりを「メダルは取れなかったけどうれしい」と誇った。

 小学生時代の池江を指導した清水桂さんは「長い腕を生かし、水のキャッチも抜群にうまい。昔からキックも強く、心肺機能も高かった」と振り返る。そんな逸材は昨夏は中学生として14年ぶりに世界選手権(ロシア・カザニ)の代表入り。大舞台で貴重な経験を積んだ。そして昨秋から日本記録を連発してきた。

 勢いは五輪に入っても止まらない。6日の予選は57秒27。自らの持つ日本記録を0秒28更新する。圧巻だったのが同日夕に行われた準決勝。50メートルのターンでは6番手。「横を見たら自分は全然遅かった。さすがに負けられないと思った」。闘志に火が付くと一気に加速。ライバルたちを次々と抜き去り、1着でゴール。タイムも57秒05と、さらに短縮してみせた。

 大会前は「あまり高い目標を掲げると、プレッシャーになってしまうので」と控えめに話していたが、開幕してみれば泳ぐたびに記録が良くなる。今大会、自由形やリレーを含めチーム最多の7種目にエントリー。若さを前面にフル回転中だ。

 なかでも、この100メートルバタフライはリオ五輪への派遣標準記録突破を狙っていた特別な種目。だから、4月の日本選手権で目標を達成すると、人目をはばからず号泣した。

 それでもレースを終えた今は「また4年待つのは悔しい気持ちもある」。東京五輪は主役候補。連日タイムを伸ばしてもなお届かなかったメダルに向け、再挑戦が始まる。

 (高橋隆太郎)

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