紙面から

ゴール、強豪を脅かした 菰野出身の浅野選手

日本−ナイジェリア 後半、シュートを放つ浅野選手=マナウスで(佐藤哲紀撮影)

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 【ブラジル北部マナウス=植木創太】リオデジャネイロ五輪のサッカー男子一次リーグで四日夜(日本時間五日午前)、ナイジェリアとの初戦を4−5で落とした日本代表。菰野町出身のFW浅野拓磨選手(21)=アーセナル=が攻撃の切り札として途中出場し、得点を決めて追い上げムードをつくったが、一歩及ばなかった。

 浅野選手は昨季、J1サンフレッチェ広島でリーグ八得点を記録し、最優秀新人賞を受賞。七月にはイングランドの強豪クラブに移籍を果たした、将来の日本サッカーを背負って立つと期待される成長著しいホープだ。

 幼いころから夢描いた舞台の五輪の初戦は、後半八分からの登場。同二十五分には左サイドからの早いパスに反応し、足裏で巧みに押し込み、追い上げのゴールを挙げた。その後も幾度となく果敢な攻めで五輪の優勝経験もある強豪を脅かした。

 リーグ突破には、残る二戦での勝利が欠かせない。次戦の相手は南米の強豪コロンビア。会場のマナウスは、コロンビアと国境を接するアマゾナス州にあり、敵地のような状況での試合になりそう。だが、エースFWの言葉は心強い。「地元でパブリックビューイングもしてもらっていたのに、初戦は笑顔を届けられなかった。次戦こそは届ける」

◆「行け!たく」 地元、母校熱狂

浅野選手のゴールを喜ぶ後輩部員たち=四日市市の四日市中央工業高で

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 相手に傾いていた試合の流れを変えるゴールを奪った浅野拓磨選手。故郷の菰野町や母校の四日市中央工業高校(四日市市)では大勢の人たちが試合を観戦し、活躍を見守った。

 パブリックビューイング(PV)があった菰野地区コミュニティセンターには、父智之さん(50)や小学生時代の所属チーム「ペルナSC」の清水保博コーチ(48)、町民ら二百人が駆け付けた。後半、浅野選手の途中出場が伝えられると会場は一気に盛り上がった。ナイジェリアとの点差を縮める華麗なシュートが決まった瞬間、この日一番の歓声が沸き起こった。

 「行け!たく!」と書かれたうちわを手に応援した智之さんは試合開始の三時間ほど前、浅野選手に無料通信アプリLINE(ライン)で「頑張れ」「パブリックで応援するわ」とのメッセージを送信。間もなく「多分スタメンちゃうけど出たら頑張るわ」との返事が来たと明かした。

試合前に浅野選手から「多分スタメンちゃうけど出たら頑張るわ」と連絡を受けた智之さん=菰野町の菰野地区コミュニティセンターで

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 初戦は惜しくも敗れたが、「スピードを生かして裏に抜け出す持ち味を発揮し、点を取ってほしい」とコロンビア戦への期待を込めた。PVに大勢が来場したことには「こんなに応援してもらえるとは思わなかった。期待に応えてほしい」と話した。

 四日市中央工高ではサッカー部の樋口士郎監督(56)と現役部員ら百二十人が観戦。OBが世界の舞台で躍動する姿を目に焼き付けた。

 試合終了後、樋口監督は「難しいクロスをよく押し込んだ」とゴールを決めた浅野選手のプレーをたたえ、次戦以降に向け「試合の重要な局面で得点してほしい」とエールを送った。

 奥川敬太主将(三年)は「期待通りに得点を決めてくれた。五輪の舞台で活躍する先輩のプレーは自分たちの励みになる」と喜んだ。

 (曽田晋太郎、大西里奈)

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