紙面から

有利のはずが… 浅野「次は勝つ」

日本−ナイジェリア 後半、3点目のゴールを決める浅野(16)=マナウスで(共同)

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 ハーフタイム。日本の手倉森監督は選手たちに「この試合、落としたらもったいないぞ」と声を掛けた。

 航空機手配の不備で当地入り当日の試合を強いられているアフリカ王者のナイジェリアに、2−3と食い下がって迎える後半。「ひっくり返せると思っていた」と浅野は気持ちを高めていた。

 開始早々PKを与えて2点差となり、現状打破に攻撃の切り札を投入。俊足ストライカーはピッチに飛び出した。さらに3点差に広げられた後半25分、グラウンダーのクロスに爆発的な加速で反応。らしい一連の流れから、初の五輪で早くもゴールを決めてみせた。ただ試合後、高揚感を口にすることはなかった。

 「勝利につながるゴールを挙げて、初めてFWはストライカーと呼ばれる」。チームに充満する敗戦の悔しさを、自らの立場から代弁した。

 「耐えて勝つ」「堅守速攻」。そんなスタイルを貫けなかった日本。まさかの5失点に、手倉森監督は「ちょっと浮足立たせてしまった」と振り返る。原因は五輪初戦の重圧なのか、新たに加わったオーバーエージ(OA)枠選手との連係不足なのか。トラブルに見舞われたナイジェリアを決して侮ったわけではないが「終わって負けてみれば、わなを仕掛けられたのかなとも思う」と苦虫をかみつぶす。

 浅野にしてもゴール後、決定機にシュートをポストに当てるなど「チャンスはまだあった。最低でも引き分けにして終わりたかった」と話す。

 選手全員が、それぞれの胸に反省を抱いた90分間。黒星発進で、1次リーグ突破へ崖っぷちに立たされた。

 「次はやられない。短期間での成長。やってみせます」と手倉森監督は語気を強める。呼応するように、浅野も「僕らには後がない。あと2試合、必ず勝つ。それだけを考えて、まずは次の試合へ百パーセントの準備をしたい」と決意を口にした。

 (マナウス・高橋隆太郎)

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