紙面から

守備崩れ、4得点も実らず

日本−ナイジェリア 前半、チーム2点目となる同点ゴールを決める南野

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 4−5。1点差だが惜敗とは呼べない。ある者はぼうぜんと、またある者はがっくりと肩を落とした。ピッチを引き揚げる日本イレブンを硬い表情の手倉森監督が迎えた。「こんなに多く(点を)取られるジャパンじゃない」。ショックが言葉ににじみ出た。

 生命線の堅守はことごとくナイジェリアに崩された。前半6分、スローインから攻め上がるエゼキエルを藤春と中島が挟むが止め切れない。シュートのこぼれ球を押し込まれ、絶対に与えたくなかった先制点を献上した。

 10分には大きなサイドチェンジからクロスをサイドネットに突き刺された。膠着(こうちゃく)状態が続いた後の42分にも失点。波状攻撃を防ぐことができなかった。分かっていながら、止められない。前半だけで3失点。抜群の身体能力を誇るナイジェリアの恐ろしさを思い知った。

 ただ、2点目を挙げた南野が「自分たちのやりたい形で点を取れた。手応えを感じている」と振り返ったように、立ち上がりの点の取り合いは大いに見せた。

 球際の強さや一瞬のスピードを武器に得点を重ねたナイジェリアだが、航空機手配のトラブルで米国合宿からの現地入りが試合開始の6時間半前にずれ込んだ影響もあってか、守備では緩慢さが垣間見えた。

 そこを日本は運動量を前面に押し出して突いた。鮮やかなギアチェンジで最終ラインの裏をうかがい、リードされるたびに追いついた。エースと期待された久保(ヤングボーイズ)の不参加が直前で決定。緊急事態でも相手の土俵で戦うことなく、自分たちの持ち味で対抗する。後半も失点は続いたが、攻撃では間違いなく日本の良さは出た。

 痛い1敗だが引きずるわけにはいかない。いきなり瀬戸際に追い込まれた手倉森監督が言葉を絞り出した。「次はやられない。短期間での成長。やってみせます」。厳しい表情に覚悟を込めた。

 (マナウス・高橋隆太郎)

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