紙面から

「金」へカギ握る背泳ぎ、平泳ぎ 400個メドレー、萩野VS瀬戸

本番会場で練習する萩野公介=7月30日(今泉慶太撮影)、リオデジャネイロで

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 競泳はいきなり注目の対決で幕を開ける。6日(日本時間7日)に行われる男子400メートル個人メドレーで、萩野公介(東洋大)と瀬戸大也(JSS毛呂山)がともに金メダルを目指す。ジュニア時代からしのぎを削る同学年2人の激突は、4泳法を巡る駆け引きがレースの行方を左右する。

 萩野は2012年ロンドン五輪銅メダリスト。瀬戸は翌13年、15年世界選手権を連覇した。今年の世界ランキングは萩野が1位(4分8秒85)で瀬戸が3位(4分10秒53)。自己ベスト=表=でも0秒89の差をつける萩野は、潜在的な速さで一歩リードするが、世界一とは無縁。瀬戸は対照的に世界の大舞台で出色の勝負強さを見せてきた。

 バタフライ、背泳ぎ、平泳ぎ、自由形の順に泳ぐ個人メドレーでは選手によって得手、不得手が存在する。2人の場合、萩野が得意とする背泳ぎと、瀬戸が優位に立つ平泳ぎの中間2泳法で差が現れる傾向にある。この二つでいかに相手をリードし、逆にどれだけ食らいつけるかが勝敗を分ける一つの鍵となる。

リラックスした表情で練習に臨む瀬戸大也=7月31日(隈崎稔樹撮影)、リオデジャネイロで

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 当地入りした瀬戸は、萩野に「かなり勝てる確率がある」条件として前半200メートルを1分58秒台で泳ぐことを挙げた。未知の領域で、それでも萩野にリードを許している可能性は高いが、このハードルをクリアできれば昨秋から目標に掲げてきた4分5秒台の到達も現実味を帯びる。そのためには苦手とする背泳ぎでの粘りが欠かせない。

 梅原孝之コーチは「五輪はタイムより勝負。だけど私たちは、まずタイムがあってそれに結果が付いてくるという考え方でやってきた」と強調。地道に設定タイムを積み上げた先に、打倒萩野が見えてくるというスタンスを貫く。

 「誰よりも一番速くゴールにタッチする」と意気込む萩野が見据えるのも、やはり4分5秒台。同じ目標タイムへ向かう2人の異なるアプローチに着目すると、勝負のあやが浮かび上がってくる。

 (リオデジャネイロ・高橋隆太郎)

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