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体操・内村「1位で決勝へ」 二つの「馬」攻略誓う

本番会場であん馬の練習をする内村航平=リオデジャネイロで(内山田正夫撮影)

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 【リオデジャネイロ=鈴木智行】3大会ぶりの団体総合優勝を目指す男子代表が3日、最初で最後となる会場練習に臨み、エースの内村航平(コナミスポーツ)、五輪初出場の白井健三(日体大)らが本番で使う器具の感触を確かめた。6日に行われる予選と同じ午前10時半ごろから行い、1種目目のあん馬からスタート。ロンドン五輪に続く出場となる加藤凌平と田中佑典、山室光史(いずれもコナミスポーツ)も調整した。

 高ぶる闘志を制御できなかった反省から、平静を心掛けて南米の地を踏んだ内村。それでもこの日の表情に若干の硬さが見られたのは、競技初日の成否がリオ五輪の成否を決めると覚悟するからだ。

 「予選を1位で通過しなければ、優勝のチャンスは半分以上消えてしまう」

 ロンドン五輪の予選は自らが鉄棒とあん馬で落下。5位で決勝に進んだチームは、中国と大差の銀メダルに終わった。2014年世界選手権(中国・南寧)は予選2位で決勝も銀。15年世界選手権(グラスゴー=英国)は1位通過で優勝し、予選の大切さを再認識した。

 予選で自身の鍵となる種目を問われ、エースは答えた。「二つの『馬』かな」。まずは1種目目となるあん馬。「最初につまずくと取り返すのに時間がかかる」。ロンドンでは決勝の終末技でも体勢を崩し「日本のみんなに苦手だと思われている」という種目での滑りだしを意識する。

 二つ目は跳馬。日本が苦手とするあん馬、つり輪を終えた後の3種目目で、高難度技「リ・シャオペン」を決められるかが後半の流れを左右する。内村にとって、全種目で失敗のリスクが最も高いとも言える技。「助走が合えば何も考えなくてもうまくいく。『跳ぼう』と思わないことが大事」と独特の感覚で挑む。

 予選1位を望むのは、優勝の確率を上げるためだけではない。「2位で決勝に行き、鉄棒で完璧な演技をそろえても何か締まらない」。最終種目を後に行えるのがトップ通過国の特権。冨田洋之さんが美しく着地を決めて優勝したアテネ五輪を超えるため、自身が最終演技者を務める理想は譲れない。

 (鈴木智行)

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