紙面から

<踊る 中部のリオ代表>(7) 杉本早裕吏(新体操団体)=名古屋市出身、みなみク

「目標は金メダル」と意気込む杉本早裕吏=東京都北区の国立スポーツ科学センターで

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◆頼れる気配りの主将

 姿が見えなくても、言葉を交わさなくても通じる。「スリッパの足音を聞くだけで、どのメンバーが近くに来たか分かる。練習でも、調子の良しあしが雰囲気ですぐ伝わる」。新体操団体の日本代表「フェアリージャパンPOLA」の杉本早裕吏(20)の特技は「妖精」の魔法ではなく、共同生活で培われた濃密なチームワークのたまものだ。

 東京でフルタイムの合宿をしながら強化する団体代表に2013年から名を連ねる。リオデジャネイロ五輪を控えた昨年、ロンドン五輪代表の畠山愛理(東京ジュニアク)に代わって主将を任された。

 6歳で競技を始めたころは「踊るのは大好きでも、手具操作はすごく苦手」。周りの選手が手具をどの角度で持ち、どのタイミングで離すかなどに目を凝らした経験が、人間観察力も養った。日本協会の山崎浩子強化本部長は「ぐいぐい引っ張るタイプではないが、広い視野でまとめてくれる」と信頼を寄せる。

 団体総合は2種目の合計で競う。昨年の世界選手権(シュツットガルト=ドイツ)で種目別の銅メダルを獲得したリボンの曲にはサンバを採用し、フープ・クラブは「ライブ会場をイメージして踊る」(杉本)にぎやかな曲調。明るさを前面に出す二つの演技を磨き上げるため、練習では「一つのミスでムードが落ち込まないように」と気を配ってきた。

 「目標は金メダル。最後まで諦めずに自分たちの演技をやり切る」。団体総合決勝は閉会式がある8月21日。南米で日本勢が繰り広げるカーニバルを華やかに締めくくる。

 (鈴木智行)

 =おわり

◆新体操・体操・トランポリン・レスリング・柔道

 新体操は杉本のほか、ロンドン五輪にも出場した岐阜市出身の松原梨恵(ALFA)が代表入りした。

 体操女子は、愛知県小牧市出身の寺本明日香(中京大)が主将を務める。

 トランポリン男子は金沢学院大出身の伊藤正樹(東栄住宅)がメダルに迫り、女子では金沢市出身の18歳、中野蘭菜(らな、星稜ク)が挑む。

 レスリング女子はこの地方ゆかりの強豪ぞろい。4連覇を狙う53キロ級の吉田沙保里は津市出身で、いずれも初出場となる48キロ級の登坂絵莉(東新住建)は富山県高岡市、63キロ級の川井梨紗子(至学館大)は石川県津幡町、69キロ級の土性沙羅(同)は三重県松阪市で育った。58キロ級の伊調馨(ALSOK)と75キロ級の渡利璃穏(りお、アイシンAW)を含め全6階級の代表を、愛知県大府市の至学館大の卒業生と在校生で占めた。

 柔道女子は57キロ級で連覇を狙う松本薫(ベネシード)が金沢市、48キロ級の近藤亜美(三井住友海上)が名古屋市、70キロ級の田知本遥(ALSOK)が富山県射水市の出身。

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