紙面から

<踊る 中部のリオ代表>(6) 脇本雄太(自転車男子)=福井市出身、日本競輪選手会

「メダルを取りたい」と言い切る脇本雄太=伊東温泉競輪場で

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◆母との誓い胸に疾走

 高校時代に乗りつぶした自転車は、今も自宅に保管している。「最初は『家計に負担がかかることはやめて』と言っていた母が、『いつか五輪に連れてって』と買ってくれた」と脇本雄太(27)。女手一つで5人の子を育てた母の幸子さんは、5年前にがんで他界。五輪で銀輪を駆る姿を母に直接見せることはできなかったが、ようやく大舞台にたどり着いた。

 中学まで「部屋でゲームざんまい」だった脇本家の第3子は、福井・科学技術高に入学して間もなく、自転車部の監督に誘われて競技を始めた。「風を感じるのが気持ち良かった」。1カ月後に福井県大会の個人追い抜きで2位に入り、翌年には国体の1キロタイムトライアルを制覇。看護師として家計を支えていた母に、30万円余りする自転車をプレゼントされたのはそのころだった。

 高校卒業後に競輪選手になったが、2011年に母が死去。看病などでロンドン五輪の代表選考会に出られず、一時は国際舞台への意欲を失いかけた。奮起を促したのは同じ競技に取り組む一番下の弟・勇希(科学技術高)と、地元の福井競輪場の存続問題。「弟と東京五輪に出たい。地元の拠点をつぶさないようアピールしたい」。今年3月のトラック世界選手権の男子ケイリンで5位に入り、リオデジャネイロ五輪代表入りを決定づけた。

 「ケイリンは日本で生まれた五輪種目。メダルを取りたい」。陸上の長距離選手だった母譲りの持久力が身上。国際大会では本業と違う「ケイリン」のレース運びに戸惑うことが多かったが、相手の仕掛けに反応する瞬発力も磨いて上位を狙う。

 (鈴木智行)

◆卓球・テニス・フェンシング・射撃・馬術

 卓球は、男子のエース水谷隼(ビーコン・ラボ)と女子団体の15歳、伊藤美誠(スターツ)がともに静岡県磐田市出身。男子団体の吉村真晴(名古屋ダイハツ)は愛工大時代から愛知を拠点にしている。

 テニスの女子には愛知県一宮市出身の日比野菜緒(ルルルン)が臨む。

 フェンシングの男子フルーレは大津市出身の太田雄貴(森永製菓)が優勝候補。福井・武生商高出身者が4人おり、男子エペの見延和靖(ネクサス)と女子エペの佐藤希望(大垣共立銀行)は越前市、男子サーブルの徳南堅太(デロイトトーマツコンサルティング)は池田町、同サーブルの青木千佳(ネクサス)は南越前町出身。

 射撃では、男子ラピッドファイアピストルに浜松市出身の森栄太(自衛隊)が出場。

 馬術で3大会連続出場を果たした大岩義明は名古屋市出身で、長野県諏訪市に本社を置く日東光学に所属する。

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