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富山

【データで読む北陸図会】(6) 一票が、変える。

2019年7月21日

安倍政権6年半に審判

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 時折、雨がぱらつく梅雨の夜空に絶叫が響く。「勝たせてほしい。何としても」。令和初の国政選挙。最後の訴えとなった二十日、金沢、富山両市では繁華街で候補者がマイクを握った。目立つのは、その脇を素通りする若者たち。「参議院がよく分からず、興味もない」と男子学生(20)。陣営幹部は「投票所に足を運んでくれるのか」と気が気でない。

 六年半に及ぶ安倍政権に審判を下す大切な選挙だ。しかし、政権選択につながる衆院選に比べ、参院選は盛り上がりにくい。任期は六年。その半数を三年ごとに改選する。過去二十四回で、全国の投票率が七割を超えたのは衆参同日選となった一九八〇、八六年を含む四回。平成以降は急落し、九二年以降は六割に届かない。阪神大震災、地下鉄サリン事件があった九五年は唯一、五割割れの事態が起きている。

 石川、富山両県の陣営幹部からも懸念の声が漏れる。四年に一度の統一地方選と重なる「亥年(いどし)選挙」だからだ。選挙疲れで投票率が落ち込む。〇七年を除き、十二年周期で投票率は大きく降下。増加傾向だった期日前投票者も今回は両県とも前回並みにとどまった。

 政府は投票時間延長も導入し、環境を整えるが、低投票率に歯止めがかからない。若者の政治参加による盛り上がりに期待し、十八歳選挙権が始まった前回三年前の参院選。だが十代投票率は全国平均で46・78%。石川県44・6%、富山県41・25%で、全体の平均投票率にさえ及ばなかった。

 石川、富山両県内の大学でも教壇に立った兵庫教育大大学院の小南浩一教授(政治学)は「特に若者は現状をありのまま受け入れる風潮が強い。自分たちで何かを勝ち取った経験に乏しく、社会を変えようという発想がない」と指摘する。若者の大半は年金や憲法、消費税などの政治課題と向き合っていない現状を憂い、「自分の関心や問題意識に沿って、より『まし』な候補者を選んでほしい。そこに投票する意味が生まれる」と話す。(参院選取材班)

きょう投開票 あす未明、大勢判明へ

 第二十五回参院選は二十一日に投開票される。今回の選挙では、国の針路を左右する憲法、くらしと年金、外交、原発・エネルギーの主要争点や、安倍政権六年半の政治姿勢が問われた。選挙戦最終日の二十日、各党党首らは全国各地で街頭演説し、憲法や年金、消費税率10%への引き上げの是非などを巡り、最後の支持を呼び掛けた。

 自民、公明の与党や改憲に前向きな日本維新の会などが、非改選も含めて改憲発議に必要な三分の二の議席(百六十四議席)を維持するかが最大の焦点。二十二日未明には大勢が判明する見通しだ。

13万8801人が期日前投票 県内、有権者の15.6%

 富山県選管は二十日、県内の参院選の期日前投票の最終結果をまとめた。投票者数は十三万八千八百一人で、三年前の前回選よりも七千百九十二人減少した。投票日当日の有権者数に占める割合は15・6%だった。

 投票期間は三年前の前回選よりも一日短い十六日間。一日あたりの平均投票者数は八六七五・一人で、前回選よりも八七・二人多かった。

 市町村別でみると、富山選挙区や比例代表に出馬した候補者の出身地が増加傾向となった。最も増加したのが氷見市の九百七十一人増。入善町の三百八十四人増、小矢部市の三百四十六人増、舟橋村の六人増と続いた。残りの十一市町は減少した。

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