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富山

【データで読む北陸図会】(5) 働く女性上がらぬ地位 共働き率 富山全国3位

2019年7月20日

女性管理職は最低水準

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 午後八時半すぎの富山市内の食品スーパー。値引きシールが貼られた総菜が次々に売れる。品定めするのは、ほとんどが女性だ。

 富山県民の年間総菜購入額は全国上位にある。二〇一八年の総務省の家計調査ではカツレツや天ぷら・フライが二位、冷凍食品やコロッケは三位。この傾向は六年前から変わらない。

 背景に働く女性の多さがある。一七年の各県の共働き率は富山は57・1%で全国三位。トップは福井の60%で、石川は56・1%で四位に入る。こうした状況は「北陸モデル」と呼ばれ、地方創生担当相らが視察に訪れるなど関心を集める。

 企業や団体の管理職をみると、状況は一変。一五年の国勢調査によると、女性の割合は最近十年で大きく伸び、石川は14・7%、富山は14・4%、福井は13・6%。それでも全国平均の16・4%に及ばず、順位はそれぞれ三十八位、四十一位、四十六位と全国最低レベルだ。

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 富山大非常勤講師の斉藤正美さん(社会学)は「北陸の女性の置かれた状況を端的に示す指標」と話す。第一子出産後も常勤で働く女性は全国平均で約七割だが、富山では約五割。「勤め先で物事の意思決定過程に参加できず、子どもを持つと、常勤から滑り落ちる割合が高い。女性の地位が低く、働きやすいとは言えない」

 女性の政治参画も進まない。県議会の女性議員は富山で一割、石川は一割未満。首長は両県ともゼロだ。昨年五月、政治分野での男女共同参画推進法が国会で可決されたが、今回の参院選の石川、富山両選挙区に立候補した女性はいない。全国的に見れば、一部の野党は女性候補者が過半数を超えているが、与党は一割強にとどまっている。斉藤さんは「法律を通した政党が自ら法律を守っていない。口先だけの政策は駄目だと女性が団結して示すしかない」と話した。(参院選取材班)

西尾氏、堂故氏に審判 あす投開票

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 第二十五回参院選は二十一日に投票日を迎える。六年半を超えた安倍晋三首相(自民党総裁)の政権運営に対し、有権者の中間評価が示される。富山選挙区(改選数一)は、野党統一候補で国民民主新人の西尾政英氏(58)=立憲民主、社民支持=と自民現職の堂故茂氏(66)=公明推薦=が有権者の審判を受ける。県内の衆参五議席を独占する自民王国で、野党統一候補がどこまで支持を広げられるかが焦点となる。

 西尾氏は街頭演説を繰り返し、市民目線の政治の実現を主張してきた。経済格差の是正や福祉制度の拡充などを訴え、安倍政権への批判票を狙う。社民党の又市征治党首ら他党幹部の応援を受け、他野党支持層にも得票を訴える。

 再選を目指す堂故氏は企業回りと個人演説会を重ねる。茂木敏充経済再生相らが駆けつけ、支持を呼び掛けている。党副幹事長や文部科学政務官を歴任した実績を強調し、北陸新幹線の早期延伸など社会資本整備の促進を訴えている。

 参院選では、百二十四議席(選挙区七四、比例代表五〇)を争い、計三百七十人が立候補した。半数改選で今回から定数三増が適用され、総定数は二四五。比例代表には優先的に当選可能な「特定枠」が導入された。憲法改正に前向きな「改憲勢力」が三分の二以上の議席を維持するかどうかも焦点だ。

【注】氏名(敬称略)、投票日基準の満年齢、届け出党派、現職・新人の別、白抜き数字は当選回数。経歴、最終学歴、住所。=以下の□は推薦・支持政党。

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