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富山

【データで読む北陸図会】(4)中山間地 目立つ空き家

2019年7月18日

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富山駅周辺 マンション増加の一方…

 カン、カン、カン−。梅雨空につち音が響く。金沢駅、富山駅の周辺はいずれも、新築マンションの建設ラッシュだ。

 二〇一五年三月の北陸新幹線開業で首都圏との時間距離を大幅に縮めた注目エリア。行政は「まちなか居住」を推進し、民間投資を促す。

 ここ十五年間の新築分譲マンションの累計着工戸数は、金沢市が三千七百七十一戸、富山市が二千四百七十九戸。ともに新幹線開業前後も伸び続ける。

 新規着工は金沢、富山両市とも〇九年度はゼロ。しかし、開業二年前の一三年度以降の年間平均をみると、金沢で二百二十戸、富山は百九十戸と、驚異的なペースで増え続けている。

 ただ、地方都市であっても中心部はまとまった土地が限られる。富山県不動産鑑定士協会の宮川裕司会長は「需要はあるが供給が追いついていない」と指摘。投資目的の動きもあり、価格は高騰するばかりだ。

高齢化加速、深刻化

 一方、正反対なのが中山間地などの過疎地域。人口減少や高齢化が深刻化し、限界集落も。富山市南部の岐阜県境にある東猪谷は人口約六十人の集落で、およそ二人に一人が六十五歳以上だ。人通りはなく、空き家が目立つ。「もう死んだようなもんだろう、この集落は」。住民の高木弘子さん(79)はこぼした。

 高齢化率は石川、富山両県で加速する。一八年の各県の調査では、石川は能登地域の五つの市町で40%超。富山では朝日町が40%を上回り、その他、南砺市など五市町で35%を超えた。

 東京一極集中が進み、地方では県庁所在地への人、モノ、金の流れが強まる。自民党は自治体が空き家と利用者を仲介する空き家バンクの活用を参院選の公約に掲げるが、過疎化の勢いに追いつかない。

 北陸経済研究所(富山市)の倉嶋英二さんは「都市機能の集中は進む」と予想。今後に向けて「歯抜けが予想される郊外の空き家問題など、都市周辺部の再整備が新たな課題となる」と指摘した。  (参院選取材班)

主な政党の公約

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