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総合

若者、今回も自民 中部7県本紙出口調査

2019年7月22日

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 自民党が勝利した今回の参院選。中日新聞社は二十一日、中部七県(愛知、岐阜、三重、長野、福井、滋賀、静岡)の投票所で有権者一万五千百人余に出口調査を実施した。自民は二十代、三十代の若い世代から厚い支持を得た。消費税増税に反対する層でも自民に支持が集まった。投票で重視した政策は「年金」が突出して多く、投票先がどの政党でも関心が高かった。

◆立民、高齢者から支持

 比例の投票先は、すべての年代で自民が最も多く支持を集めた。自民支持の割合が最も高かったのは、二十代の40・9%。二十代と三十代の若い世代で自民支持が四割を超え、全世代平均の自民支持36・2%を上回った。

 二十代は前回の二〇一六年の参院選で42・3%、一七年の衆院選で47・1%が自民に投票。この直近二回の国政選挙と比較すると、今回は微減になったものの、大きく崩れることはなかった。

 一方、他の世代に比べて若い世代では、諸派に投票した人が多かった。二十〜四十代では、それぞれ6〜7%前後が政治団体「れいわ新選組」に、十代、二十代のそれぞれ4%以上が同「NHKから国民を守る党」を支持した。

 六十代と七十代では、立憲民主に投票した割合が上昇し、二割を占めた。この傾向は一七年の衆院選と同様だった。

◆「年金」トップ「改憲」は低調 重視した政策

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 有権者が投票で重視した政策は、「年金」が46・1%で最も多く、次いで多い「教育・子育て」の20・6%を大きく上回った。安倍晋三首相が主要争点に据え、改憲勢力が三分の二に届くかが焦点になった中で、「改憲の是非」は15・0%にとどまり、投票行動を大きく左右するまでには至らなかった。

 年金問題は、老後の夫婦の蓄えに二千万円が必要と指摘した金融庁審議会の報告書が発端となり、大きな争点となった。比例投票先で見ても、すべての政党で「年金」がトップに挙げられた。

 「改憲の是非」を重視したのは、自民に投票した人で14・6%。公明では5・8%にとどまった。一方、安倍政権下の改憲に反対する立民では21・2%、共産では25・3%、社民では25・1%といずれも高かった。

 「原発・エネルギー」は5・6%止まりで、東京電力福島第一原発事故から八年がたち、有権者の関心が薄れつつある。

◆消費増税反対多数でも反自民ならず

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 十月から税率10%への引き上げが予定される消費税の賛否は、「反対」が44・5%となり、賛成の30・5%を上回った。

 今回の参院選では、予定通りの税率引き上げを進める自民、公明の与党に対し、野党五党が凍結や中止を訴え、足並みをそろえた。

 「増税に賛成」とした人の比例投票先を見ると、自民が半数を超え、公明と合わせた与党で六割を超えた。「増税に反対」とした人でも自民が24・3%で最も多く、増税への反対姿勢は反自民の大きな動きにはつながらなかった。次いで多かったのは立民の22・6%だった。

◆現状を肯定する傾向 津田大介さん

 <ジャーナリストで「ウェブで政治を動かす!」などの著書がある津田大介さんの話> 現代の若者は中学、高校時代の校則が昔より厳しくなっているにもかかわらず、守ることは当然だと考える人が増えており、現状をあまり批判せず、そのまま肯定する傾向がある。場の空気を読むことが重要とされている社会で育っていることからも、政権批判する野党やマスコミを「与党の揚げ足取り」だと思いがちだ。自身の生活についても「これ以上悪くなってほしくない」と保守的な考えがあり、自民党を支持する若者は多いとみられる。

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