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総合

詐欺警戒で「電話作戦」効果薄れる

2019年7月17日

電話で候補者への支持を呼び掛けるボランティア=岐阜市内で

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 有権者宅に電話をかけて投票を呼び掛ける昔ながらの選挙戦術「電話作戦」が、かつてほど効果を上げられなくなった。ニセ電話詐欺などが相次ぐ影響もあり、固定電話を留守番電話設定にしたまま、鳴っても出ない家庭が増えているためだ。参院選では、電話作戦を縮小した陣営も。会員制交流サイト(SNS)に軸足を移す候補もいる。

 岐阜選挙区の自民現職陣営が岐阜市に設けた電話作戦の部屋。平日昼間、ボランティア三人が名簿を見ながら電話をかけていた。

 呼び出し音が鳴るが、応答がない。十秒ほど待ってあきらめ、次の人へ。ボランティアの一人は「共働きも増えていて、留守宅が多い。出てもらえるのは四軒に一軒ほど」と話す。

 六年前の選挙で十五台設置した固定電話は今回、五台に減らした。「効果が薄くなっている」と陣営関係者は明かす。代わりに、支持者に対し、自身の携帯電話に番号を登録している知人にかけるよう呼び掛けている。

 愛知県警生活安全総務課によると、二〇一八年に県内で起きたニセ電話詐欺被害は約六百件。被害総額は約十二億七千万円に上るが、ほぼすべての詐欺電話が固定電話にかかっていた。若い世代に比べ、高齢者は固定電話を頻繁に使っており、犯人側も高齢者を狙ってかけてくる。県警は「電話に出れば、巧みな話術で被害に遭う」として、自宅の電話を留守電設定にして、鳴っても出ないよう呼び掛けている。

 選挙戦術を助言する選挙プランナーの三浦博史さん(68)によると、十年ほど前から都市部を中心に、電話作戦が重視されなくなったという。「教材などのセールス電話に迷惑している家庭が多く、見知らぬ人からの電話は嫌がられるようになった。今はSNSに力を入れる陣営が増えた」

 三重選挙区の自民現職の陣営は、SNS担当の運動員を置く。街頭演説や候補者が食事をする様子などをスマートフォンで撮影し、選挙事務所に送信。これを別のスタッフが編集し、数時間のうちにツイッターやフェイスブックで発信する。候補がどの地区に足を延ばしたか、告知することにもなる。陣営幹部は「『いいね』の数で評判もわかる。今はSNSの方がいい」と話す。

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