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総合

<公約点検>原発 将来も稼働、自民明確に

2019年7月15日

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 エネルギーの将来像の中に原発をどう位置付けるかを巡り、各党の公約は3つに大別される。自民は将来も原発を使い続ける姿勢を明確にした。公明、立憲民主、国民民主、共産、社民の5党は「原発ゼロ」を掲げた。日本維新の会は「脱原発依存」を唱えた。

 同じ「原発ゼロ」でも、いつまでに実現するのかという目標の示し方には違いがある。立民、共産、社民は衆院に共同提出した原発ゼロ基本法案の「成立を目指す」と公約した。法案は法施行後5年以内に全原発の廃炉決定と定めている。国民は「2030年代」を目標に挙げた。公明は時期を示さなかった。

 原発の再稼働に関しては自公は一定の条件を満たせば認める立場を示した。国民、維新はより厳しい条件を付けた。立民、共産、社民は一切認めていない。

 政府が15年に決定した電源構成見通し(エネルギーミックス)に関し、自民は「確実な実現を目指す」と強調した。発電電力量のうち原発が占める割合を30年度に20〜22%へ引き上げる目標を掲げたことになる。新規制基準に適合し再稼働した原発は9基で、発電電力に占める割合は17年度で約3%。20〜22%の目標達成には30基以上の再稼働が必要になる。

 自民の公約は原発の新増設も否定していない。安倍晋三首相は党首討論会で「現時点で新増設は想定していない」と将来に含みを残した。公明は新設を認めない方針を明記しており、与党間の距離が際立った。

 地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」を受け、温室効果ガスの大幅な排出削減が国際的な課題になった。その手段として再生エネをどれだけ重視するかについても、与野党の立ち位置は分かれた。

 自民は30年度の再生エネの政府目標比率(22〜24%)を追認した。国民は30年までに30%以上、共産は同40%、社民は50年までに100%へ引き上げる目標を示した。立民は時期を示さずに自然エネルギー100%を目指すとした。

 二酸化炭素を多く排出する石炭火力発電所に関し、自民は、30年度に全体の発電量の26%を石炭火力で賄う政府方針に足並みをそろえた。立民、社民は30年までの廃止を主張した。共産は新設計画の中止、既存の発電所の計画的な廃止を盛り込んだ。政治団体「れいわ新選組」は「原発即時禁止」を掲げ、火力発電をエネルギーの主力に位置づけた。

 (伊藤弘喜)

主な政党の公約

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