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名市大生に聞く、一票増やすには 「ネット投票を」「SNSで身近に」

2019年7月9日

参院選の投票を呼びかける学生ら=名古屋市瑞穂区の同大で

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 選挙のたびに話題になるのが若者の低い投票率。参院選でも盛り上がりは不透明だが、争点は若い世代にとって大事な問題も多い。八日、名古屋市立大滝子キャンパス(同市瑞穂区)に一日限りで設置された参院選の期日前投票所を訪ね、学生たちに聞いてみた。どうしたら若者は選挙に行くと思いますか?

 「インターネット投票ができるようになれば、投票率は上がりますよ」

 二年の中谷唯人さん(19)の提案は明快だ。政治の仕組みを学ぶ授業を受けた学生約三十人で、選挙啓発チームをつくった。「若者が集まる場所、駅とかに投票所をつくるのもいいかもしれません」。この日も昼休み、学生たちに投票を呼び掛けていた。

 選挙の投票率は通常、若いほど低く、年代が上がるにつれて高い傾向にある。二〇一七年十月の衆院選の投票率は、実家暮らしの多い十八歳こそ50%と全世代平均の53%に近かったが、十九歳で32%と激減。二十〜二十四歳の平均も30%にとどまった。

 一年の近藤亘さん(19)は「そもそも『政治』が友人の間で話題として存在しない。政治のことを話すと、意識高い人だな、と線引きされてしまう感じ。投票に行くこと自体を敬遠する風潮がある」と指摘する。まずは政治の堅苦しいイメージを壊す必要がありそうだ。

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 その好例として一年の木津恵理子さん(18)が挙げたのが、河野太郎外相のツイッター。二十カ国・地域首脳会議(G20サミット)の写真を載せ、各国の要人の中から「タローを探せ」と遊び心ある投稿で話題を呼んだ。「遠いイメージの政治が会員制交流サイト(SNS)を通すと身近に感じられる」

 三年の森田隼大さん(20)は「選挙自体を面白くしたら」と提案。投票済証を集めると特典が付く試みに触れて「ボールペンがもらえるだけでもうれしい。若者が行くようになれば、マニフェスト(政権公約)も若者寄りになるのでは」と好循環を期待する。

 名市大には三年前の参院選から、選挙啓発のため一日限定で学生が運営する期日前投票所が設置されている。八日は近隣住民を含めて三十五人が投票した。名市大では四つのキャンパスに四千五百人余りが通うが、瑞穂区に住民票がないと投票できない。

 区外に住民票がある一年の渡辺陽紀(はるき)さん(18)は、選挙のためだけに実家に戻ろうとは思わないといい、「初めての選挙で投票に行かないと、今後も行かなくなってしまう」と不安を感じている。一年の足立なるみさん(20)は「地元の成人式に出られなくなると思って住民票を移さない子もいる」と話した。住民票を移さなくても投票できる仕組みづくりを望む声もある。

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