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総合

将来選ぶ、職も政治も 就活生、願い切実

2019年7月5日

大手企業の採用面接を受けるため、受付に並ぶ学生ら=6月、東京都内で

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 希望の職業に就くために就職活動に臨む学生は、参院選に何を思うのか。争点となる年金問題や子育て支援、消費税率引き上げは、若者にとってもやはり切実な問題だ。自分たちの将来を少しでも良くしてくれる政治家や政党を見定めようと、真剣なまなざしを向けている。

 「老後に二千万円が必要という報道もあって、金銭面は心配。出産しても働き続けたいし、共働きは最近の主流になりつつあると思う」

 食品メーカーから内定を得た愛知県岩倉市の大学四年の女子学生(22)は、試験を受けた十社すべての産休、育休制度を可能な限り調べ、仕事復帰のしやすい会社を望んだ。今回の参院選では「女性の仕事と家庭の両立を支援する政党や候補」に投票するつもりだ。

 名古屋市立大四年の男子学生(22)は五月にバス会社の内定をもらい、路線バスの運転手になる。だが業界は慢性的な人員不足で長時間労働が少なくなく、会社からも「休日に出勤してもらうこともあるかもしれない」と説明を受けた。

 「給与も含め、働きやすい環境を整備しないと、路線バス網を守れない」と心配しており、「憲法や年金問題も大事だが、運転手や保育士といった現場で働く人を守る政策を打ち出してほしい」と注文を付けた。

 児童福祉施設への就職を目指す愛知県美浜町の大学四年の女子学生(22)も、厳しい労働実態を就活中に聞いた。「ニーズは高まっているのに低賃金で重労働の現場だと知った」。各党は子どもを守る体制の強化を公約にするが、それを支える仕事への不安をぬぐいきれない。

 就職情報会社「リクルートキャリア」によると、来年卒業予定の大学生の就職内定率は六月一日時点で70・3%。人手不足で企業が採用に積極的な状態が続く。一方、経団連が主導した春の一括採用中心の日程は、来春入社の学生が最後。二一年春入社は、政府が経団連に変わって現行日程を守るように呼び掛ける。

 まだ内定のない三重県東員町の女子学生(22)は「今年は採用時期の移行期で実験台にされた印象がある。学生に配慮したルールを検討してほしい」。同じく就職活動中の愛知県豊田市の男子大学院生(22)は「学業に支障が出ないようにするとしながら、現実はそうなっていない。採用時期を早め、実践的な勉強に専念できる流れにしてもらえたら」と話し、採用日程や方法を巡る与野党の討議を期待した。

 (安田功、諏訪慧、大久保謙司)

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