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総合

「納得できる政策を」「老後にいくら必要?」 有権者

2019年7月5日

 年金の将来に不安を感じる有権者は少なくない。

 岐阜県土岐市の団体職員岩本千津子さん(46)は、中学三年の長女と小学六年の長男の二児の母。「これから教育費がかかり、老後を考える余裕はない。二千万円が必要なんて、いつまで働けば良いのか…」とため息を漏らす。与野党の議論には「相手の攻撃ばかりで小学生のようだ」と嘆き、「各党がどうしたいのか、納得できる年金政策を出してほしい。それを読み比べた上で、投票先を決める」と話した。

 「老後二千万円問題」には、若い世代の関心も高いよう。

 愛知県半田市の名城大四年石川舞花さん(21)は二千万円問題について「やっぱりな、という感じ。私たちの世代の年金はもっと減るから、節約してためないと」と危機感を募らせる。祖母は会社員だった祖父の年金頼みで暮らしており、以前から「やりくりが大変」と漏らしていた。三月に祖父が亡くなり、支給額が減った。与野党に対しては「自分たちは老後にいくら必要になるのか、ごまかさずに教えてほしい」と求める。

 長野県下條村の果樹農家、松本龍貴さん(27)は「果物の市場価格が下落し、景気の悪化を実感しているのに、老後のために貯蓄しろというのは支離滅裂だ」と憤る。ただ、「毎回、投票しているが、末端にいる国民の声は国会に届いておらず、論戦には期待できない」と冷淡だった。

◆長期的視野で制度論を語れ 識者

 <名古屋市立大大学院の臼杵政治教授(ファイナンス・年金論)の話> 年金制度は選挙結果によって頻繁に変わるべきではなく、本来は与野党が一緒に制度をつくるのが望ましい。選挙の争点になるのであれば、各党は長期的な視野に立った議論をすべきだ。いわゆる「老後2000万円問題」が浮上して以降、与党は、年金制度の現実を正面から説明するのを避けている。野党も突っ込んだ制度論を語らず、政府の揚げ足取りをしているように見える。各党とも、支給額には限度があり、制度維持には応分の負担が伴うという現実を国民に説明し、冷静な議論をしてほしい。

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