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総合

「安倍1強」を問う 参院選公示 年金・増税・改憲焦点

2019年7月5日

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 第二十五回参院選が四日、公示された。改選となるのは百二十四議席で、投開票は二十一日。くらしと年金、外交、原発・エネルギーのほか、六年半に及ぶ「安倍一強」の政治体制を巡って論戦が繰り広げられる。自民、公明の与党に日本維新の会などを加えた改憲勢力が、非改選も含めて改憲発議に必要な三分の二の議席(百六十四議席)を維持するかどうかも焦点となる。

 各党首らの第一声では、自民党総裁の安倍晋三首相が憲法九条に自衛隊を明記する改憲案の実現を訴えたのに対し、野党が安倍政権での改憲、十月に予定される消費税率10%への引き上げに反発するなど、対立の構図も浮き彫りになった。

 憲法に関し、首相は福島市で「自衛隊明記を公約に掲げている。最後に決めるのは国民だが、審議をするのが国会議員の責任だ。未来に向かってしっかり議論を進めていく」と強調した。

 共産党の志位和夫委員長は東京・新宿駅前で、自民の九条改憲案を批判。「海外での武力行使が無制限に可能になる。平和憲法を守り、生かすべきだ」と主張した。社民党の吉川元(はじめ)幹事長は新宿駅前で「戦後七十四年にわたり戦争することなく平和を守ってきたが、安倍政権のもとで岐路に立っている」と指摘した。

 くらしや年金では、立憲民主党の枝野幸男代表が新宿駅前で、「老後資金二千万円問題」を取り上げ「どうやって二千万円をためられるのか。暮らしの安心を取り戻さなければならない」と呼び掛けた。

 国民民主党の玉木雄一郎代表は静岡県掛川市で「家計を豊かにすることで国内総生産(GDP)の六割を占める消費を盛り上げる。消費を軸とした好循環を回す経済政策に変えていこう」と主張。家計への直接支援の重要性を訴えた。

 消費税率10%への引き上げでは、公明党の山口那津男代表が神戸市で「幼児教育の無償化など、子育て支援を安定的に進めるための財源が必要」として理解を求めた。一方、日本維新の会の松井一郎代表は大阪市で「徹底的に行革すれば消費税増税をやらなくても教育無償化は実現できる。財源を生み出す努力をする」と訴えた。

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◆370人が届け出

 参院選は四日公示され、選挙区の立候補と比例代表の名簿届け出が午後五時に締め切られた。選挙区に二百十五人、比例代表に百五十五人の計三百七十人が立候補した。前回二〇一六年参院選の三百八十九人から十九人減った。改選百二十四議席に対する競争率は約二・九八倍。女性候補は八人増の百四人になった。

 政党別の候補者数は、自民党が選挙区と比例代表に計八十二人で最多。以下、選挙区と比例代表を合わせて公明党二十四人、立憲民主党四十二人、国民民主党二十八人、共産党四十人、日本維新の会二十二人、社民党七人だった。

 政治団体「れいわ新選組」は東京選挙区に一人、比例代表に九人の計十人を擁立した。代表の山本太郎参院議員は比例代表の三位で立候補した。

◆愛知12人激戦、岐阜・三重は3人

 中部の各選挙区でも候補者が出そろい、戦いの構図が固まった。

 愛知選挙区(改選数四)では十二人が届け出た。自民、公明、立民、国民、共産、維新、社民の主要七党が候補を擁立する激戦となった。

 岐阜選挙区(改選数一)は三人が出馬した。保守地盤に支えられる自民現職に、野党統一候補の立民新人らが挑む。

 三重選挙区(改選数一)は、三人が立候補。自民現職と、野党統一候補の無所属新人による事実上の一騎打ちとなる。

 長野選挙区(改選数一)は、四人が届け出た。野党統一候補の国民現職に、自民新人らが挑む構図になった。福井選挙区(改選数一)には三人が届け出た。全国三十二の改選一人区で唯一となる共産公認の野党統一候補となった新人と、自民現職による事実上の一騎打ちとなる。滋賀選挙区(改選数一)は三人が立候補した。自民現職と、野党統一候補となった無所属新人の前知事が争う展開になる。

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