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総合

<解説>対立軸明確、一票が決める

2019年7月4日

 与野党党首らの参院選第一声に耳を傾けると、二つの明確な対立軸が見えてくる。一つは、六年半にわたり安倍政治を支えてきた自民、公明の与党と野党の対決。もう一つは、安倍晋三首相が目指す改憲に協力する改憲勢力と、非改憲勢力の攻防だ。

 首相はアベノミクスの成果を強調する。六年半で企業の内部留保は増え、最低賃金も百二十円程度上がった。だが、非正規労働者の比率は上がり、低所得に苦しむ人は多い。野党は企業より家計への支援を訴える。

 公的年金制度を巡る主張の違いも明らかだ。自公が給付水準を抑制してでも制度維持を優先させる方針なのに対し、野党は低年金に苦しむ人への給付上積みを重視する立場だ。

 改憲を巡っては、自民党は公約に自衛隊明記などの四項目を明示し、早期の改憲実現を掲げた。首相は二〇二〇年の新憲法施行を目指す。

 このうち自衛隊を明記する九条改憲について、首相は「自衛隊違憲論を払拭(ふっしょく)するため」と説明するが、安全保障関連法で拡大した自衛隊の任務が、新憲法で追認される危険性をはらむ。

 改憲勢力は、改憲発議に必要な三分の二の議席維持に挑む。衆院で三分の二を握っているため、参院でも維持すれば、早ければ秋の臨時国会で改憲原案の提出に向けて動きだす。三分の二を少し割り込んだ場合、自民党は国民民主党から、改憲に理解を示す一部議員の取り込みを図る。

 逆に改憲勢力が三分の二を大幅に割り込むなら、早期の改憲は困難になる。改憲を認めるか、止めるか。有権者の一票が決める。

 (政治部・城島建治)

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