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総合

与野党6党首がネット党首討論会 首相、自衛隊任務不変を明言せず

2019年7月1日

インターネット番組の党首討論を終え、記念撮影に応じる(左から)日本維新の会の松井代表、公明党の山口代表、立憲民主党の枝野代表、自民党総裁の安倍首相、国民民主党の玉木代表、共産党の志位委員長=30日夜、東京・六本木で

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 与野党六党首は三十日夜、七月四日公示の参院選を控えて初の討論会に臨んだ。インターネット動画中継サイト「ニコニコ動画」番組で、安倍晋三首相(自民党総裁)は憲法九条に自衛隊を明記する自民党案に関し、自衛隊の任務や権限が変わらないと明言しなかった。「私は党の議論に参加していないので、言い切ることができない。国会の憲法審査会で議論してほしい」と述べた。立憲民主党の枝野幸男代表は、首相による衆院解散権を制約するため憲法を改正すべきだと訴えた。

 首相は従来、自ら提起した九条への自衛隊明記に関し「任務や権限に変更は生じない」と国会で重ねて答弁してきた。討論では「国民的議論を深めるのは私たちの責任だ」とも述べ、改憲論議の推進の是非を争点化する意向を示したが、自民党案の解釈に焦点が当たる可能性がある。

 自民党案については、安全保障関連法で限定的にとどめている集団的自衛権行使の範囲拡大につながりかねないとして、公明党や野党には警戒や反対論が根強い。

 公明党の山口那津男代表は、憲法審の議論停滞について「残念。落ち着いて議論できる環境を与野党共に努力してつくるべきだ」と指摘した。

 枝野氏は解散権に関し「主要先進国で自由に解散できるのは少数派だ」と問題提起した。共産党の志位和夫委員長は、自衛隊明記により「海外で無制限の武力行使が可能になる」と反対した。日本維新の会の松井一郎代表は、教育無償化を憲法に記すべきだとした。

 国民民主党の玉木雄一郎代表は、改憲案を諮る国民投票時のCM規制を強化する独自案を憲法審で審議するよう求めた。

 十月の消費税増税を巡り、首相は「幼児教育・保育、高等教育を無償化する。そのためにも安定財源である消費税が必要だ」と予定通り引き上げる考えを明言。野党の各党首は「経済に冷や水を浴びせる」(松井氏)などとして増税凍結や中止を要求した。

 首相は老後資金二千万円問題に関連し、公的年金制度について「受給額が減らないように経済を良くする」と強調した。

 主催者によると、社民党の又市征治党首は体調不良により欠席した。

◆野党統一候補「自衛隊は違憲」当選後6年間主張せず 枝野氏

 立憲民主党の枝野代表は、インターネット番組の党首討論で、参院選改選1人区に擁立する野党統一候補は、自衛隊を巡る見解を統一しているとの認識を示した。「現行憲法で集団的自衛権は違憲であると一致しているが、自衛隊が憲法違反であるという主張は、今回当選して6年間は国会で言わないことで一致したと理解している」と述べた。

 番組では、安倍首相が野党統一候補に関し「自衛隊が合憲か違憲かという最も大切な点は統一すべきだ」と指摘した。

 共産党の志位委員長は「自衛隊と憲法は両立しないという立場だが、この立場を野党共闘に持ち込むつもりはない」と語った。福井選挙区では、共産党公認の新人が野党統一候補になっている。

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