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総合

増税論戦、市民は望む 「使い方信用できる政党選ぶ」

2019年6月27日

常連客でにぎわう店内。店主の家田登美子さん(右)は商品の持ち帰りで税率が変わることに戸惑いを感じている=26日、名古屋市西区の円頓寺商店街で

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 通常国会が二十六日閉幕し、参院選の選挙戦が事実上スタートした。安倍晋三首相は、国会閉会後の記者会見で消費税増税についてほとんど触れなかったが、「再び延期するのでは」との観測もあった十月の消費税増税も現実化する。一方の野党は凍結や中止を求めるなど争点に持ち込もうと必死だ。影響が直撃する市民は、参院選での論戦を待ち望んでいる。

 そぞろ歩きの人が行き交う名古屋市西区の円頓寺商店街。プレハブ造りの「富久屋」で名物のたませんを焼いていた店主の家田(いえだ)登美子さん(58)は、消費税増税のことを考えると気が重いという。「うちみたいな店にはメリットがないから」

 軽減税率の導入によって、店内で飲食すると税率が10%に上がるが、商品を持ち帰る場合は「生活に欠かせない飲食料品」と見なされ8%のままとなる。富久屋は軽減税率が適用される持ち帰り客が九割以上。10%対象の店内客は少なく、税込み二百円で販売するたませんの価格には転嫁しない方針だ。原材料が値上がりする可能性もあり、負担感は付きまとう。「増税を強いられる分、信用できるお金の使い方をしてくれる政党を選びたい」

 近くの老舗薬局「ナガ井」には軽減税率に伴う別の悩みがある。異なる税率が交じり合う商品が多い小売店は専用レジを導入する必要があるが、同店はレジを数年前に更新したばかり。店主の永井和宏さん(72)は「まだ使えるのに数万円かけて改修するのは迷惑な話」と憤るが、「増税自体は仕方がない。年金や介護など本当に必要な人のために使ってほしい」と願う。

 軽減税率は消費者への影響も大きい。スーパーやコンビニで買う飲食品はそのまま持ち帰るなら税率8%だが、店内の「イートインコーナー」で飲食する場合は10%対象になる。

 スーパーのイートインを頻繁に利用している津市の主婦伊藤八江子さん(70)は「外食とみなされて増税されるのは理解し難い。持ち帰りかイートインかをいちいち申告するのは手間だし、何よりレジも混雑しそう」と困り顔だ。

 増税後に向けて生活のやりくりを考える市民も。福井市の会社員竹内和男さん(47)は「いまのうちに日用品を買い置きし、趣味の旅行も控えないと」と話す。

 岐阜市の主婦望月佐保里さん(31)は五歳児と一歳児の子育て中。おむつや子ども用衣服の買いだめを準備しているが、「将来の世代に負担を残してほしくない」と増税には反対していないという。「子育てしやすい社会にする政策など、各党の消費税の使い道を投票の参考にしたい」と語る。

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