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静岡

参院選の演説 法政大生ら分析

2019年7月24日

(上から)川代秀弘さん、千葉樹さん、山口真央さん

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 現職二人が当選した参院選静岡選挙区(改選数二)で、白鳥浩・法政大院教授(現代政治分析)のゼミ生三人が、当選した二人と次点候補の演説が公示日から選挙運動の最終日まで、どう変遷したかを分析した。

 三人は、大学院修士課程一年の川代秀弘さん(28)、千葉樹さん(22)、学部三年の山口真央さん(21)。

 選挙中、自民・牧野京夫さん(60)と国民民主・榛葉賀津也さん(52)、次点の立憲民主・徳川家広さん(54)の遊説先に足を運んだ。本紙報道も参考に公示日(四日)、二回目(七日)、最終日(二十日)の演説内容を比較した。

 分析によると、牧野さんは徹底して防災対策、国交副大臣としての取り組み、政治の安定をアピール。二回目から地域振興や選挙情勢も盛り込んだ。担当した川代さんは「迫力こそ感じられないが、むしろ、落ち着いた姿に、有権者は与党候補の安心感を覚えたのでは」と印象を語った。

 榛葉さんは年金問題や経済政策、家計の底上げを欠かさず訴え、他候補と比較した「自らの強み」や四期目への「意気込み」も織り交ぜた。千葉さんは「徳川さんとの差別化を図る狙いか、庶民感覚や地元出身を強くアピールしていた」と振り返る。

 最終日には「野党批判」も取り入れ、山口さんは「自らを含めた野党のふがいなさを指摘し、安倍政権に対する野党の役割を強調できていた」と語る。

 感情に訴える場面も多かった榛葉さんと比べ、徳川さんはアベノミクス批判と脱原発、改憲反対を訴え続け、政権論争重視でぶれなかった。政策論争は深まらず、千葉さんは「脱原発は争点にならなかったし、対榛葉さんへの強みも感じられなかった」と話す。

 終盤につれ、アベノミクス批判が増え、山口さんは「公示直後は榛葉さんよりも勢いを感じたが、過激さばかりが増し、有権者にネガティブな印象を与えたのでは」と分析した。

 現職二人が新人を返り討ちにした戦い。三人は勝敗のキーワードに「地元」を挙げ、「国政選挙とはいえ地方都市では、より生活に身近な課題に取り組む政治家が求められていると感じた」とまとめた。

(西田直晃)

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