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静岡

AIと静大生 投票呼び掛けのキャッチコピー

2019年7月21日

参院選の投票を呼び掛けるキャッチコピーを発表する学生たち=浜松市中区の静岡大浜松キャンパスで

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 参院選は二十一日投開票を迎える。低投票率が懸念される中、静岡大情報学部の狩野芳伸准教授の研究室が開発した人工知能(AI)に、投票を呼び掛けるキャッチコピーを作ってもらった。同時に情報学部の学生十五人も制作にチャレンジした。いずれも、込められた思いは同じ。みんな、投票に行こう−。

 AIは中日新聞に掲載された膨大な記事データなどを学習しており、入力したテーマに沿ったコピーを瞬時に作ることができる。「投票」「選挙」のほか、争点となった「年金」「介護」「増税」「憲法改正」「原発」「育児休業」「復興」の各キーワードで計九百二十個を作成し、その中から記者が独断と偏見で十個を選んだ。

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 「投票は短い。一日は長い」は、面倒くさがりな有権者にチクリと刺さるコピー。「飲みには誘えない、選挙なら誘える」はAIなのに人間くさい。一方で、「選挙のタラレバより、未来の天使を」「初めてのキスは、選挙のボールがした」など、意味不明なコピーも散見された。

 「ほんの少しの選挙が、会社を救ったりする」は「会社」を「社会」に変えるとしっくりきそう。ほかにも、人間が少し手を加えるときらりと光りそうな、惜しいコピーも多かった。

 学生案は、投票の先に“未来”を描く作品が目立った。加瀬川智皓さん(18)の「今は困らない。でも未来は分からない」は年金問題を念頭に置いた。「いつかは自分たちが困る日が来るかもしれない。未来を変えるためには、今から投票すべきだ」と込めた思いを解説した。

 香月祥さん(19)の作品は「思いはSNS上ではなく、投票所で表そう」。「若者は自分の考えをしっかり持っている。ただ、それをSNS(会員制交流サイト)でばかり表している。その考えを投票に結び付けてほしい」と説明した。

 今回は二〇一七年十月の衆院選のキャッチコピー作りに次ぐ取り組み。狩野准教授は「AIは学習データが増え、年々、コピー作成の精度が上がっている。学生のコピーは粗削りだが、若者ならではの感性や社会に対する思いがよく表れている」と講評した。

(鎌倉優太)

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