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静岡

母尊敬 生きざま継ぐ 共産新人 鈴木 千佳さん

2019年7月15日

◆弱い立場の人のために

有権者に政策を訴える鈴木千佳さん=菊川市で

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 生まれ育った地元・川根本町を回ったのは、梅雨の晴れ間となった十日午後。顔見知りから「千佳ちゃん、がんばって!」などと声が飛ぶ。

 街頭演説の隣に元川根本町議の母・多津枝さん(73)が寄り添う。旧中川根町、川根本町の町議を七期務め、二〇一七年に引退した。当時は唯一の女性・共産町議で、身内らから白い目で見られることもあったという。

 積極的にマイクを握り「娘をお願いします」と支持を訴える。「弱い立場の人のためにがんばってほしい。私も現役時代はそれを貫いてきた」

 千佳さんは一六年に続く参院選挑戦。政治の世界を志したのは母の生きざまを間近で見てきたからだ。「生き方そのものを尊敬している。応援は心強い」と話す。遊説の合間には多津枝さんが経営する食堂に立ち寄って休憩する姿もあった。

 静岡選挙区で唯一の女性候補。体力面でハンディともいえるが、街頭演説は連日十カ所前後を回る。複数の市町をまたぐ日は、選挙カーで昼食をすませることもある。

 選挙カーには二ケース分のお茶や水のペットボトルを積み込み、演説の合間に、のどあめをなめる。立ち止まって聞いてくれた人にはすぐさま駆け寄って握手を欠かさない。党員らの動員はせず、労組や市民団体の推薦も受けず、手作り選挙を貫いている。

 老後資産が二千万円不足するとした金融庁報告書問題で、老後の不安が主要な争点に浮上している。「年金は老人だけの問題ではない。若い人も関心を持ってくれている」と語る。街頭でも「マクロ経済スライドを廃止する。年金保険料の年収上限を現在の一千万円から二千万円に引き上げる」と党公約を訴え、多くの時間を割く。

 弱い立場の人や子育て世代の声を代弁しているとの自負がある。選挙中は午前八時から午後八時まで分刻みのスケジュール。小学生の長女と触れ合う時間もない。両親や妹、夫が交代で面倒をみているといい、「夫も娘も理解して応援してくれている」と語る。

 静岡選挙区は野党共闘とはならず、自民と国民民主の現職に加え、立憲民主の新人とも舌戦を繰り広げる。「野党同士が競い合って自民、(改憲)補完勢力の維新を少数派に」と安倍政権や改憲勢力への批判には演説のトーンが上がる。

(瀬田貴嗣)

 参院選静岡選挙区(改選数二)の立候補者=届け出順、敬称略

牧野 京夫 60 自現(2)

徳川 家広 54 立新

榛葉賀津也 52 国現(3)

鈴木 千佳 48 共新

畑山 浩一 49 諸新

主な政党の公約

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