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静岡

千回を目標 街頭演説 国民現職 榛葉 賀津也さん

2019年7月14日

壇上で気勢を上げる榛葉賀津也さん=磐田市で

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◆「家計第一」「庶民の代表」

 「顔は黒いけど、腹の中は白い。永田町には顔は白いけど、腹は黒い人がいっぱい、いる」と決めぜりふで聴衆の笑いを誘う。日焼けで日に日に黒さを増す顔はかつてない厳しい選挙戦を物語る。

 お茶が盛んな菊川市生まれ。茶摘みを始める「八十八夜」の五月二日から投票日までに千回演説するとの目標を掲げ、公示後もひたすら街頭に立ち続ける。残り一週間となる十三日時点で九百八十回を超え、目標の達成は確実だ。

 六年前の前回選は三百八回と言うから力の入れようが分かる。一日中駆け回り、夜の演説では、あいさつでかんで「ちょっと疲れてます」と笑ってみせる場面もあるが、政策の話になれば熱を帯びてくる。アベノミクスや年金問題を批判し、代替案として、家計収入を底上げし、消費から景気の好循環を生み出す「家計第一」の訴えに多くの時間を割く。

 過去三回の選挙はいずれも、自民候補と議席を分け合う「無風区」。今回は立憲民主が「刺客」を送り込み、陣営の危機感は強い。各紙などの世論調査では序盤、立民新人と横一線とも報じられた。

 演説で生い立ちを語る場面も多い。自民と立民の候補を「権力者の代表」、自身は「庶民の代表」と表現。「静岡で生まれ育ち、静岡の米を食べ、水を飲んで大きくなった」と地元出身をアピールする。

 旧民主時代から最大の支援組織「連合静岡」は中西清文会長自らが先頭に立ち全面的に支える。連合本部からも神津里季生会長が十日に県内入り。二〇一七年衆院選を前にした民進党の分裂騒動を引き合いに「選挙は誰かを落とすためにやるのではない」と述べ、国民現職がいる静岡での擁立に固執した立民の姿勢を暗に批判した。

 過去の選挙で県東部のまとめ役だった細野豪志さん(衆院静岡5区)はたもとを分かった。自民入りをもくろむが、地元関係者らの反発は強く、「中ぶらりん」状態。この選挙で細野さんの影は薄い。細野票がそのまま自民に、ましてや立民に流れることはないと陣営はみる。

 静岡を「最重点選挙区」と位置付ける党本部にとっても、絶対に負けられない戦い。玉木雄一郎代表は既に二回、静岡入り。小沢一郎・総合選対本部長相談役も十一日に駆け付けた。

 本人や応援弁士が「厳しい選挙」と口にしない日はない。

(岸友里)

 参院選静岡選挙区(改選数二)の立候補者=届け出順、敬称略

牧野 京夫 60 自現(2)

徳川 家広 54 立新

榛葉賀津也 52 国現(3)

鈴木 千佳 48 共新

畑山 浩一 49 諸新

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