願う 一票の現場<5> 浜岡原発
2019年7月13日
◆未来に向けて舌戦を
停止中の浜岡原発。後方には送電用の鉄塔が立ち並ぶ=御前崎市で、本社ヘリ「まなづる」から |
緑の森を越え、何本もの鉄塔が連なっていく。
中部電力浜岡原発(御前崎市)から延びる送電線は、静岡県中西部の全需要をまかなえるほどの電気を送り出してきた。東日本大震災後、稼働を停止してからは逆だ。ほかの発電所から、使用済み核燃料を冷やし続けるための電気などを送ってもらっている。
「停止からもう八年。どうなるんですかね」。原発から四キロほどの場所に住む市観光協会長の下村裕さん(68)はつぶやく。再稼働に向けて中電が審査を申請した原子力規制委員会では、南海トラフ巨大地震への備えをどうするか、議論の終わりはまだ見えない。
原発への賛否は、参院選でも舌戦がある。しかし、これからも原発のそばで暮らしていく住民としては、物足りなさを感じるという。「核燃料の処理をどうするとか、もっと先のことを考えてほしい」
投票先はまだ決めていないが、「未来が託せる人」を選びたい。五つになった孫娘のそばにいると、なおさらそう思う。
写真・畦地巧輝
文・内田淳二
(終わり)