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静岡

舌鋒鋭く汗流し行脚 立民新人 徳川家広さん

2019年7月13日

◆浜岡廃炉を公約の柱に

浜岡原発前で演説し、支持を求める徳川家広さん=御前崎市で

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 十二日昼すぎ、浜岡原発(御前崎市)前の国道に報道陣が詰め掛けた。

 立憲民主新人の徳川家広さんと並んでマイクを握ったのは二〇一一年、民主党政権で浜岡原発の停止を要請した菅直人・元首相。「日本の転換点を静岡からスタートしたい。その原動力になり得るのは徳川さんしかいない」。脱原発の原点とも言える地で、二人は固い握手を交わした。

 徳川さんの公約の柱は浜岡原発の廃炉化。「危ないものを放っておけない」と語り、どの地でも、演説のほぼ半分を費やす。選挙中盤に入り、経済や暮らしに言及する場面は増えたが、この日も「推進派、反対派の綱引きではない。廃炉は原子力関係者にも勝利になる」と訴えた。

 主戦場はもっぱら街頭演説。立候補を表明した五月末から県内行脚を始め、二周目に入った。多い日は三十カ所でマイクを握る。政治経済評論家としてならした舌鋒(ぜっぽう)は鋭い。

 チラシを受け取ってくれた人を見かけたら、すぐさま駆け寄って「握手をしていただけませんか」と笑顔で求める。すっかり日焼けした顔に大粒の汗をかきながら、徳川宗家直系の「殿」らしからぬ、どぶ板選挙に徹している。

 県内には党の国会議員がゼロ。団体などからの推薦も皆無に近く、労組も県職員組合などにとどまる。スタッフを送り出しているのは、総合選対本部長に就いた牧野聖修・元民主党衆院議員や旧民主系の県議、市町議ら。「家臣団」として支える。

 組織票は見込めぬ中、静岡を「最重要選挙区」と位置付ける党本部の応援は頼みの綱だ。枝野幸男代表や長妻昭代表代行、蓮舫副代表らが相次ぎ来県するなど、徳川さんを「即戦力」とみなす党本部の本気度はうかがえる。

 「徳川」の知名度、つながりは群を抜く。公示日には江戸後期の老中・水野忠邦や十五代将軍慶喜に仕えた町火消し・新門辰五郎の子孫らが駆けつけた。吉田茂の側近、白洲次郎さんの孫・信哉さんや脳科学者、茂木健一郎さんに加え、徳川さんの父で、静岡商工会議所最高顧問を務める徳川宗家十八代・恒孝(つねなり)さんも応援に訪れた。

 徳川さん自身の言動はリベラル寄りだが、陣営幹部は保守票の切り崩しに期待する。「憧れのリーダー像として家康公を掲げる経営者は多い。『徳川さんなら』と支援してくれる人が増えてきた」と話す。

(広田和也)

 参院選静岡選挙区(改選数二)の立候補者=届け出順、敬称略

牧野 京夫 60 自現(2)

徳川 家広 54 立新

榛葉賀津也 52 国現(3)

鈴木 千佳 48 共新

畑山 浩一 49 諸新

主な政党の公約

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