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静岡

得票上積みへ組織戦 自民現職 牧野京夫さん

2019年7月12日

◆「命を守る」防災に力点

街頭演説で支援者と気勢を上げる牧野京夫さん=静岡市駿河区で

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 山あいに雨が降り続いた十一日昼すぎ、浜松市天竜区春野町の商店前で、牧野京夫さん(自現)は二十人ほどに語りかけた。

 「いつもは清らかな水が流れる気田川も、突然の大雨で氾濫や浸水の恐れがある」。国が昨年から七兆円を投じた「防災・減災、国土強靱(きょうじん)化のための三カ年緊急対策」に盛り込まれた地元事業を紹介し、「国民の命を守ることが政治の最優先事項だ」と力を込めた。

 現職の国土交通副大臣。演説先の地域性を踏まえた防災、インフラ事業の課題・展望に必ず触れる。西部では三遠南信自動車道や国道1号浜松バイパス、中部ではリニア中央新幹線や海岸堤防、東部では伊豆縦貫自動車道や富士山。各地を大雨が襲った公示日(四日)から一貫し、豪雨対策などの重要性を説く。

 演説の合間、陣営の女性がペットボトル入りのお茶を小まめに差し出す。最終日まで、どんなに暑くても緑色のネクタイは外さないと決めている。緑色は、茶やワサビ、三ケ日みかんの葉といった県の名産品を象徴している。

 一日に十カ所以上街頭に立つこともある。選挙カーにはおしぼりや冷却スプレーのほか、のどを守るためカリンのハチミツ漬けも常備している。

 上川陽子・自民県連会長は「これまでの得票を上回る数字で勝つ」と語る。野党の共倒れを狙い、二人擁立論も根強かったが、逆に「共倒れのリスク」を避け、県連は二人目の擁立を見送った。だからこそ、初当選の五十四万票、再選時の六十三万票超えは牧野さんの最重要課題だ。

 神道政治連盟など自民の友好団体を中心に約二百の推薦を受ける。演説先には地元選出の国会議員や地方議員、首長も駆け付け、組織戦としては盤石の構え。とりわけ連立を組む公明との絆は強固で、牧野さんは選挙区では自身、比例代表では公明候補への投票を呼び掛ける。

 応援弁士は、楽勝ムードの気の緩みを警戒し、「激戦だ」「厳しい戦い」としきりに声を張り上げる。県東部の駅前で八日にあった街頭演説は、聴衆もまばら。「動員が少ない。地元の議員は何をしているのか」と県議はつぶやいた。

 十日朝、浜松市での街頭演説。互いに意識し合い、舌戦を繰り広げる立憲民主の新人と国民民主の現職を念頭に、牧野さんは「日に日に差が縮まっている。焦りながらやっている」と口にした。

(三宅千智)

 参院選静岡選挙区(改選数二)の立候補者=届け出順、敬称略

牧野 京夫 60 自現(2)

徳川 家広 54 立新

榛葉賀津也 52 国現(3)

鈴木 千佳 48 共新

畑山 浩一 49 諸新

主な政党の公約

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