• 中日新聞ウェブ
  • 中日新聞プラス

静岡

願う 一票の現場<1> 年金 

2019年7月9日

 老後の暮らしや憲法改正など多岐にわたる争点が浮上した参院選。それぞれの現場から有権者が一票に込める願いを伝える。

◆体が動くうち 働き続け

障子張りや網戸の修理をする松本学さん。シルバー人材センターの仕事は健康な限り続けたいと話す=浜松市浜北区で

写真

 組子と呼ばれる格子状の木に、はけでのりを丁寧に広げていく。「傷みもあり、状態に合わせて障子を張るのは本当に難しい」。職人のようなまなざしで仕事に向き合う松本学さん(78)=浜松市浜北区=だが、元々は普通の会社員だ。

 電子部品のプログラムなどを担当してきた勤め先を六十八歳で退職し、シルバー人材センターに登録した。老後に二千万円が必要とした金融庁の報告書には「みんなそんなにあるものなの?」と驚く。高校卒業後から働き続け、年金はそれなりに受給しているが、病気や介護への不安に備え、お墓も買っておくためにはもっと蓄えが必要だ。

 今は月に十日ほど障子やふすまの修理をして、三万円ほどを稼ぐ。体が動くうちは働き続けるつもり。仕事自体は「人に喜んでもらえて、生活を豊かにできる」と楽しみでもある。

 報告書は若い世代にも、年金制度への不信を呼び起こした。松本さんは願う。「今の子どもたちも将来にわたって、楽しく生活できる社会にしてほしい」

 写真・川戸賢一

 文・古根村進然

主な政党の公約

新聞購読のご案内