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静岡

5候補 こんな人

2019年7月6日

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 参院選の静岡選挙区(改選数二)には現職二人、新人三人が名乗りを上げた。政治家を志した理由や信念、目指すものは何か。五候補の横顔を紹介する。 (上から届け出順)

◆果実酒やみそ漬け手作り

牧野京夫さん 60 自現<2>

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 地元テレビ局の報道記者として十二年勤めた。一九九五年に「伝えるだけでなく、自分で行動を起こそう」と政界入りを決めた。

 県議、参院議員として二十四年。「外から見て伝えるのと、中で活動するのは違う。政治に携わる者の責任の重さを感じる」

 自治体から国政などへの要望を受けるたび、素早い対応を心掛ける。「早くしないとどんどんたまってしまうから」。周囲は「真面目が取りえ」と評する。

 トレードマークの緑色のネクタイは「五十本ほど持っている」。お茶、ワサビ、三ケ日みかんの樹木の葉など、静岡の特産品をイメージしている。

 好物は妻玉江さんの作る肉じゃが、おでん。自身も果実酒を造る。ウメをホワイトラムに漬けて梅酒にしたり、レモンを蒸留酒グラッパに漬けたり。お手製のみそ漬けや、かす漬けも常に冷蔵庫にストックする。五年ほど前からの趣味だ。もっとも「ここ一年は忙しくてあまりできていない」と苦笑する。

 「人を信じて自分を信じる」が座右の銘だ。「最後は自分で責任を取るのが政治家だが、一人で何から何までできるわけではないから」

(三宅千智)

 金谷町(現島田市)生まれ。五和小、五和中、島田高、早稲田大法学部を卒業後、テレビ静岡の報道記者に。1995年県議選で初当選。3期務め、2007年参院選に初当選。2期目。外務政務官、国交副大臣を歴任。家族は母、妻、長女、次女。

◆ストレス解消は眠ること

徳川家広さん 54 立新

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 政治家を目指すきっかけは一年前。歴史本の執筆中に北海道知事選の立候補を要請された。「安倍政権は戦後日本の根本的な価値観を壊そうとしている。何とかしたいという(自身の)思いに気がつけた」。知事選は断念したが、今回、脱原発と護憲で一致する立憲民主党からの打診を受けて「出陣」を決めた。

 徳川宗家十八代目の父・恒孝さんから「頑張ってほしい」と背中を押してもらった。父が安倍政権がつくり出した今の社会に危機感を持っていることに「同じ考えを持っていることを知れてうれしかった」と話す。徳川家の歴史の中でも静岡は重要な場所。「家康が江戸の平和を考え、最後の十五代将軍が権力を失った後に住んでいた地。静岡には徳川家の魂が根を張っている」

 高校時代に「お城に住んでいるのか」とからかわれたこともあると言うが、平和を築き上げた家康をはじめとする「徳川」の名への誇りを忘れたことがない。

 ストレス解消法はひたすら眠ること。定期的に一キロ泳ぐのも「よく眠れるので」。自然あふれる浜松市の中山間地や伊豆半島、ゾンビ映画がお気に入り。

(広田和也)

 東京都出身。父親の転勤で小学1〜4年は米ニューヨーク州で過ごす。米ミシガン大学院などで経済学を学び、国際連合食糧農業機関に勤務。米コロンビア大学院で政治学を修了し、政治経済評論家、翻訳家として活動している。ベトナム人の妻と2人暮らし。

◆ヤギの世話済ませ国会へ

榛葉賀津也さん 52 国現<3>

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 父に命じられて五歳で牛乳配達を始めた。風の日も雨の日も牛乳瓶を届け、空き瓶を回収する。配達が嫌で仕方なくてストライキを決行したこともあったが、中学入学まで続けた。

 幼少期は極度の吃音(きつおん)症で自分の名前もうまく言えなかった。「だから言葉に対する憧れは人一倍あった」。十代の頃はイラン・イラク戦争の真っただ中で、連日の報道に触れているうちに中東に興味を持ち、外国の言葉を学ぶために留学を志すようになった。

 高校卒業後、牛乳配達でためた資金で渡米。英語を学んだ後、イスラエルに留学した。現地での生活は政治や国防を考えるきっかけとなった。「国を守るのは大変なこと。現実を直視しながら、理想を忘れないということが大事」。民主党政権では防衛副大臣、外務副大臣も務めた。

 趣味はヤギ三頭の世話。国会中もほぼ毎日、戻ってきては、朝五時から小屋の掃除をし、始発で東京に向かう生活を続ける。最近、すみ着いた子ネコ五匹もすっかり家族の一員だ。

 座右の銘は仏教用語の「和顔愛語」。「どんな時も言葉を大事に笑顔で接すれば、必ず心は通じ合える」

(岸友里)

 菊川町(現菊川市)生まれ。掛川西高時代は野球部。米オタバイン大政治学部卒業後、イスラエル国立ヘブライ大学院で国際政治学を学ぶ。1994年に菊川町議に初当選。2001年に参院選に初当選し、防衛・外務副大臣を務めた。3期目。1男2女の父。

◆長女のためキャラ弁作り

鈴木千佳さん 48 共新

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 県議、国政を合わせて選挙は五回目の挑戦。十歳の一人娘から「私が投票できるようになるまで出続けて」と背中を押され、党からの出馬要請を快諾した。

 結婚して戸籍上の姓が変わった後も旧姓の「鈴木」で活動している。選択的夫婦別姓を支持し、「選択を応援する政治を目指したい」と語る。

 政治家としての原点は、中川根町、川根本町の町議を七期務めた母の姿。「地域の願いを実現するのが共産党員の役割」が口癖で百円バス運行などに尽力したといい、「地域住民の声を拾っていた。すごい母だった」。政治家として、人として尊敬している。

 静岡選挙区から出馬した五人の中で唯一の女性候補。「男性議員ばかりだとおのずと男性視点の政策ばかりになる。女性進出は切実な課題」と話す。与野党が二議席を争う激戦に「野党で競い合って安倍政治とサヨナラを」と訴える。

 政治活動や育児に忙しく、趣味に割く時間は限られているが、長女のために始めたキャラ弁作りに二時間かけるほど、夢中になっている。自身の会員制交流サイト(SNS)にキャラ弁の写真を投稿している。

(瀬田貴嗣)

 中川根町(現川根本町)生まれ。中川根中、川根高、静岡大法経短大部を卒業後、日本民主青年同盟県委員長などを経て現在は共産党県女性・子育て部長。国政選挙への出馬は2017年の衆院選以来2度目。公務員の夫、小学生の長女と3人暮らし。

◆会社員続け週末静岡入り

畑山浩一さん 49 諸新

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 北海道の高校を卒業後、設計事務所に勤務し、二十歳で全国を飛び回るトラック運転手になった。北は北海道から南は鹿児島まで、年間十四万キロを走破した。各地の文化や風習に触れ、人との会話を通じて見聞を広めてきた。

 十年ほど前から、NHKへの受信料の支払いに疑問を持つようになり、首都圏を中心に地方議会に議席を持つ「NHKから国民を守る党」の存在を知った。「(立花孝志)代表の裏表のない姿勢に引かれた。自分が立候補することで、少しでも党の知名度を上げられたら」と語る。

 政治信条は「うそをつかない」こと。選挙戦では、契約者だけがNHKを視聴できるようにする「スクランブル制」の導入や放送法の改正を訴える。愛知県で会社員を続けながらの挑戦で、静岡入りは週末に限定される見込み。主に会員制交流サイト(SNS)で支持を訴える。

 趣味は魚釣り。息抜きはパチンコ。出馬への背中を押してくれ、ポスター貼りも手伝うと言ってくれた家族との時間が至福の時だ。

(西田直晃)

 三重県伊勢市出身。札幌市の札幌中、札幌琴似工業高卒。故菅原文太さんが主演を務めた映画に憧れ、トラック運転手として約30年間働く。現在は愛知県の運送会社に勤務し、同県岡崎市に住んでいる。フィリピン人の妻、小学生の長女との3人暮らし。

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