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静岡

改憲、年金2000万円、多弱野党 識者こう見る

2019年7月5日

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 政治学者五人に参院選の争点、着目点は何か、聞いた。

 前山亮吉・静岡県立大教授は「憲法改正」が主争点とするが、与野党対決とは言い難い。与党で公明は慎重、野党で維新や国民民主は逆に改正に積極的な傾向にあるとされ、「政党の立ち位置がはっきりと分かれていないことが、複雑にしている」と述べる。与党は衆院で、憲法改正の発議に必要な三分の二の議席を確保。参院でも改憲勢力が三分の二を維持すれば、改憲は現実味を帯びるが、安倍晋三首相は非改選も含めた「過半数」を目標に掲げる。

 「その意図が読めない」と後房雄・愛知大教授は語る。「安倍首相の最大かつ最後の政治目標は憲法九条の改正。目標を過半数まで下げたら、仮に結果として大勝しても、九条改正を進めることへの抵抗は相当強くなる」と指摘する。

 野党もふがいないと映る。「負けを回避ではなく、野党共通の政策を掲げ、政権構想を示し、本気で攻めないといけない。政権交代は参院選のねじれから始まる」と強調する。

 「争点不在」と嘆くのは林昌宏・常葉大准教授。老後資金が二千万円必要とする金融庁報告書問題は争点に急浮上したが、「(自民が惨敗した二〇〇七年参院選の)『消えた年金問題』と比べ、国民の危機感や怒りを誘発しているとは思えない」と述べる。

 白鳥浩・法政大院教授は社会保障のあり方そのものを巡り、本格的な論争を期待するが、「安倍政権の隠蔽(いんぺい)体質など、周辺の話に終始するのでは」とみる。

 立憲民主と国民民主が争う静岡は日本の縮図と、とらえる。「民主が政権を失った直後の一三年参院選は喪失感の中で、野党が惨敗した。どれぐらい立て直せるか。中核として主導権を握るのは立民か国民かがはっきりする」と語る。

 投票行動の分析を専門とする井柳美紀・静岡大教授は「政治家は自身に有利な争点を設けたがるが、憲法、福祉、雇用と個々にさまざまな問題がある中で、有権者は総合的に判断するべきだ」と話す。

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