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静岡

無効票 市町選管が慎重に判断

2019年7月1日

◆家名、地盤、誤字・脱字…

公示後に候補者のポスターが張り出される掲示場。誤記を懸念し、氏名をひらがなで届け出る候補もいる=静岡市葵区で

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 七月四日に公示される参院選の静岡選挙区(改選数二)には五人が立候補を表明している。有権者がせっかく投票所に足を運んでも、書き間違いや勘違いなどで、票が無効とされるケースがある。激戦が予想されるだけに、判定する各地の選管は慎重になっている。 

 公選法は、候補者の氏名のほかに「他事を記載したもの」を無効にすると定める。ただ「職業や身分、住所、敬称の類いはこの限りではない」と補足する。各地の選管は、都道府県や政令市を会員とする「地方財務協会」の見解などを参考に、有効票か否かを判断する。

 立憲民主から出馬を予定する新人、徳川家広さんは「徳川宗家」直系として知られている。例えば投票用紙に「徳川家康」や「徳川家」「宗家」と記したら、どうか。静岡市選管の斉藤乾次長は「想定されるケースはいくつかあるが、公示後、ある程度の見解を内部で共有することになる」と説明する。

 国民民主現職の榛葉賀津也さんの地盤から「掛川榛葉」と投票用紙に書いても、候補者の住所は他事記載に当たらず、有効とみなされる可能性が高い。過去には「掛川西高」と母校を記し、無効票となったケースもあるようだ。

 誤字・脱字も無効票の対象となるが、静岡市選管の西野太一郎次長補佐は「一般的な市民感覚を用い、できるだけ有効票として扱うのが大前提」と語る。「『榛葉さん』を『棒葉さん』と書いてもうっかりミスと推定できる」

 自民現職の牧野京夫(たかお)さんも「孝夫」「隆夫」などの誤記が予想される。榛葉さん、牧野さんの両陣営も気を使い、榛葉さんは「しんば賀津也」、牧野さんは「牧野たかお」と選管に届け出ている。

 投票用紙には「氏名」を書くのが原則だが、姓や名だけの記載も過去には多い。名字だけだと、同姓の候補者が他にいた場合、票数を割ることになる。共産新人の鈴木千佳さんは今回は重ならないとみられるが、静岡に多い姓らしく、過去六回の参院選で四人の鈴木さんが出馬している。

 県選管によると、投票の有効・無効に関わる最終判断は市町の選管の開票管理者が担う。県選管に市町から問い合わせがあったり、事前に想定されたりするものは総務省の判断を仰いだりするという。県選管の杉山明規選挙班長は「同じことが投票用紙に書かれていても、地域性により、市町の判断が分かれる場合もある」と話している。

(西田直晃)

 参院選静岡選挙区(改選数二)の立候補予定者

榛葉賀津也 52 国現(3)

鈴木 千佳 48 共新

徳川 家広 54 立新

畑山 浩一 49 諸新

牧野 京夫 60 自現(2)

 ※敬称略。五十音順

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