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静岡

立民 徳川氏擁立へ 参院静岡、旧民進系が競合

2019年5月28日

徳川家広氏

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 立憲民主党は夏の参院選静岡選挙区(改選数二)に徳川宗家十九代目で経済評論家の徳川家広氏(54)を公認候補として擁立する方針を固めた。枝野幸男代表が二十八日に静岡市内で記者会見し発表する。党関係者が二十七日明らかにした。国民民主党は現職榛葉賀津也参院幹事長の擁立を決めており、旧民進党系候補が競合する。

 立民、国民は改選一人区に加え、二人区でも候補者の調整に着手。国民は京都で新人候補を降ろす代わりに、静岡、広島で立民が擁立しないよう要求していた。静岡では、一部支援者が独自候補擁立にこだわった上、徳川氏が比例代表ではなく、選挙区からの出馬を希望したため調整は不調に終わった。

◆共倒れ狙い、自民2人擁立か

 立憲民主党が参院選静岡選挙区に徳川家広氏を擁立する方針を固め、各党の動きは慌ただしさを増す。立民と国民民主が激突する構図に加え、両党の共倒れを狙い、自民は二人擁立にかじを切る可能性がある。

 参院選静岡選挙区はこの二十年近く、自民と民主(民進含む)が二議席を分け合ってきた。今回も自民の牧野京夫氏(60)、国民の榛葉賀津也氏(52)の両現職が立候補を表明。堅い選挙となる公算もあったが、共産が新人、鈴木千佳氏(48)を擁立し、さらに徳川氏が名乗りを上げる。

 初代・家康は晩年を駿府城で過ごし、十五代・慶喜も大政奉還後、三十年近く静岡で暮らした。家広氏自身も久能山東照宮の例祭に毎年参加し、昨年は浜松市シティプロモーション顧問に就任するなど、県とのゆかりは深い。党側は「比例代表」も視野に入れたが、本人は「静岡での挑戦」に固執したとされる。

 全国に四つある「二人区」で、立民と国民は、京都は立民新人、広島は国民現職で一本化。「衆参同日選」がささやかれる中、野党共闘の流れにあったが、立民は茨城で元官僚を、国民の現職がいる静岡でも、徳川氏を立てる。

 国民の静岡県連幹部は「一本化に期待していた。野党同士がぶつかっても何もプラスにはならない」と漏らす。榛葉氏本人は早い段階から「(立民は)候補者を立ててくると思ってシナリオを作っている」と述べ、一貫して隙は見せない構えだ。

 両党の共闘が消え、自民は議席独占も見据える。早くも県議や元市議、支援団体関係者らの名前が候補に挙がる。静岡市内で二十七日にあった党県連大会で、新会長に就いた上川陽子衆院議員(静岡1区)は「二人区なので、いろいろな可能性を今の段階で否定するわけではない」と語った。

 静岡市内でこの日事務所開きをした牧野氏は、明らかに徳川氏を意識し「どんな家柄の人が出ようが、正々堂々と戦い、自民の公認候補として選挙をしたい」とあいさつした。

(参院選取材班)

 参院選静岡選挙区・立候補予定者(改選数二)

榛葉賀津也 52 国現(3)

鈴木 千佳 48 共新

徳川 家広 54 立新

牧野 京夫 60 自現(2)

 ※五十音順

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