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滋賀

<終盤ルポ>嘉田由紀子さん(69)無新

2019年7月19日

山間地を回り住民に支持を呼び掛ける嘉田さん(右)=米原市長岡で

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 参院選は二十一日の投開票日が二日後に迫り、選挙戦は最終盤を迎えた。滋賀選挙区(改選数一)は、前知事で無所属新人の嘉田由紀子さん(69)=立憲民主、国民民主、共産、社民推薦と、二期目を目指す自民現職の二之湯武史さん(42)=公明推薦、政治団体「NHKから国民を守る党」新人の服部修さん(45)の三人が激戦を繰り広げる。最後の力を振り絞り、県内を駆け回る立候補者を追った。

 十四日夕方のJR草津駅前。国民民主党の玉木雄一郎代表や立憲民主党の福山哲郎幹事長ら野党四党の関係者が集結する中、約千二百人の聴衆を前に切り出した。「何よりも今回、政党や連合、多くの市民の皆さんが心を合わせて統一候補にしていただいた、その大きな責任がエネルギーの原点です」

 勝負服の緑色のジャケットには、候補者一本化の過程で立候補を取り下げた立憲民主党と共産党の二人から贈られたトンボとハトのバッジが並ぶ。「二人のお力を頂いている」と野党共闘の力を強調した。

 野党各党も「全国一の激戦区」として注目し、立憲民主党の枝野幸男代表をはじめ大物政治家が応援に駆けつけるが、陣営はあくまで「草の根選挙」を重視。十一日にも玉木代表が来県したが、大票田の都市部ではなく、人口二百七十人の近江八幡市の沖島に案内。研究者時代に島でフィールドワークをしていた経験を生かし、一軒一軒を回りながら旧知の島民に声をかけた。「私はこういう所から出ている人間。小さい声を聞き、ボトムアップで政策をつくっていく」

 選挙戦を通して、人口減少が進む地域も積極的に訪問。公示日から既に四千キロ近くを走った。座右の銘とする「飲水思源」を意識し、安曇川や愛知川、姉川の源流域などを細かく回る。選挙カーからマイクを通して呼び掛けると、家から次々と人が出てくるといい、陣営関係者は「手応えはとても良い」と語る。

 消費税の増税反対や原発ゼロ、安全保障関連法の廃止など四党の共通政策の訴えに加え、中盤以降は「知事時代に経済を停滞させた」との相手陣営の批判を意識し、反論を強める。

 知事任期中に関西一の県民所得を維持したことや、名神高速のスマートインター設置、国道161号バイパスの四車線化など「効果のある公共事業にはしっかり投資した」と強調。子育てや若者の非正規雇用の正規化、母親の就業支援などに予算を投入して出生率が上がったとし、「滋賀は少子高齢化への新しい答えを出した。この『滋賀モデル』を国政に展開したい」と訴える。

 相手陣営は首相や閣僚らが連日応援に入る。「軍艦のように滋賀県全体をつぶしにきている。こちらは琵琶湖に浮かぶ手こぎ舟。一人一人の力でこの大きな軍艦を追い返そう」。繰り返し、そう呼び掛ける。

 (森田真奈子)

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