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滋賀

選挙の意義問う特集組む 彦根東高新聞部

2019年7月18日

紙面について話し合う新聞部員たち=彦根市の彦根東高で

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 若年層の投票率が低迷する中、彦根東高生徒の選挙への関心は高い。投票率も二〇一六年の参院選では86%、一七年の衆院選で79%と、高水準を保っている。このような投票率を校内で独自に調査するなど、選挙への意識を高めようと奔走するのは、新聞部員たちだ。参院選の二十一日の投開票を前に、選挙特集を組んでいる。

 五月に発行した「彦根東高校新聞」では、三年生を対象にした選挙に関するアンケート結果を掲載。回答した二百九十六人のうち、四月末の時点で参院選があると知っていたのは41%だった。すでに投開票日が今月二十一日になると予想していた新聞部。投開票日までに十八歳になっているかという項目からは、参院選では28%が選挙権を持つと分かった。

 参院選の認知度が、選挙権のある生徒の率よりも10ポイント以上高い結果を受け、部員は地歴公民科の松田晋哉教諭を取材。松田教諭は「生徒たちは選挙権の有無にかかわらず、政治に関心を持っている」と分析する。

 二年の小峠実咲さんは「よい社会をつくるために」と題した記事で、投票が政治を動かす原動力になると強調する。若年層の投票率の低さに触れ、「立候補者の公約は、投票率が高い世代を意識しているものが多い」と指摘。若い世代の投票率が上がれば立候補者の意識も変わり、若年層の意見を取り入れた政策が実現すると訴える。

 部員の熱意は、学校の垣根を越えた取り組みを生んだ。十九日に配る今月号は、金沢市の高校生との共同企画だ。両校の生徒にアンケートを採り、選挙への意識を比較。回答者に選挙権があると仮定し「国政・地方選挙どちらも行く」と答えたのは、彦根東高で八割を超えたのに対し、金沢市の高校では五割に届かなかった。紙面では、要因の分析も掲載する。

 今月号の選挙取材チーフ、鯰江杏菜さん(二年)は「選挙特集を通して投票率を上げるだけではなく、さまざまな問題を考え、よりよい社会をつくるという意識を高めたい」と話す。高校生による高校生のための新聞は、同世代だけでなく、大人や社会にも選挙の意義を問うている。

 (安江紗那子)

 <彦根東高新聞部> 東日本大震災の被災者や、性的少数者(LGBT)の当事者など幅広いテーマを取材。昨年8月には全国高校新聞年間紙面審査賞で最優秀賞を受賞、今年1月には全国高校新聞コンクールで最高賞の文部科学大臣賞を受賞するなど、活躍している。選挙権が18歳以上に引き下げられた2015年からは毎年、選挙特集を組み、選挙や政治に対する生徒の意識向上に努めている。

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