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滋賀

自民と前知事が因縁対決 野党一本化、実績めぐり真っ向

2019年7月7日

二之湯武史さん(左)の応援に駆けつけた安倍首相=6日、滋賀県長浜市で

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国民民主党の泉健太政調会長(左)、立憲民主党の辻元清美国対委員長(右)とともに支持を訴える嘉田由紀子さん=6日、大津市で

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 二十一日投開票の参院選の滋賀選挙区(改選数一)は、野党四党の統一候補となった無所属新人の前知事嘉田由紀子さん(69)と、自民現職の二之湯武史さん(42)=公明推薦=による事実上の一騎打ちだ。嘉田さんは知事時代から自民と対立。知事選などでも相まみえてきた因縁がある。両陣営の批判合戦は熱を帯びる。

 六日、二之湯さんの応援のため、安倍晋三首相が滋賀入りした。彦根市などでの街頭演説で「相手候補は強く、厳しい戦いを強いられている。野党は全部一緒になって推している。どうか皆さん、力を与えてください」と訴えた。

 二〇〇六年、「もったいない」を合言葉に自民などが推す現職を破って知事になった嘉田さん。二期八年の在任中、むだなものはいらないと、新幹線栗東新駅(栗東市)の建設中止やダム建設凍結などを進め、自民と対立してきた。

 二之湯さんは四日の演説で、切り捨てた。「『もったいない、もったいない』と言って、新幹線の駅をつぶし、昨今の豪雨にもかかわらずダムを撤回し、けちけち財政で滋賀の経済を停滞させた人だ」

 知事が代わった後の一七年秋、衆院選滋賀1区で自民候補が嘉田さんを退けたが、他にも野党系候補がおり、非自民票は二つに割れた。今回は立憲民主、国民民主、共産、社民が協調しており、二之湯さん陣営は警戒。今後も大物弁士の応援を要請する。

 一方の嘉田さん。

 スローガンは「『もったいない!』のその先へ」で、知事時代のキャッチフレーズをいかした。

 六日は、立憲民主党の辻元清美国会対策委員長らが応援に駆けつけた。嘉田さんは大津市での演説で、森友学園問題をめぐる財務省決裁文書の改ざんや、「老後に年金以外に二千万円必要」とした金融庁審議会の報告書の受け取り拒否などを念頭に政権を批判した。

 「文書を改ざんする、報告書をなかったことにするなど民主主義の原点が失われている。実質賃金が下がっているのに統計データを改ざんして上がっているように見せかけている。国民をばかにしないでほしい」

 公示前、地元放送局であったテレビ討論会では、新幹線新駅の建設中止など知事時代の施策を批判され、反論した。

 経済効果を再分析して新駅は不要と判断したことや、ダムだけに頼らない「流域治水」の意義を説明。在任中に県内の出生率が上がったことなどをあげ、「知事時代の政策が失敗だとは思っていない」と語った。

 (成田嵩憲、浅井弘美、森田真奈子)

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