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滋賀

立候補予定者、白熱の議論 討論会詳報

2019年6月30日

 栗東市内で二十七日夜にあった参院選滋賀選挙区(改選数一)の立候補予定者による公開討論会(日本青年会議所滋賀ブロック協議会主催)では、社会保障や少子化対策をめぐり、自民現職の二之湯武史さん(42)=公明推薦=と、前知事で無所属新人の嘉田由紀子さん(69)=立憲民主、国民民主、共産、社民推薦=が白熱した議論を展開した。主な主張を紹介する。

 −社会保障制度を持続可能なものにするため、税金などの負担料を今より多くするべきか。

 嘉田 国民が今より多く負担することは不可欠だが、子育て中の母親が仕事に就いたり、非正規の人が正規になるなど、稼ぎ手を増やすことで社会保険料の支え手を増やせる。県では(母親の就業を支援する)マザーズジョブステーションをつくった。負担の中身を整理し、富裕層に多く負担してもらうことも可能だ。

 二之湯 少子高齢化なので、現実を直視することから始めないといけない。今の日本の「中負担、中福祉」では、いろんな意味で中途半端だ。北欧は高負担だけど高福祉。政府の債務の主要原因は社会保障だが、絶対的な老後に対する安心感があれば、今より消費税が上がっても痛税感をなくすことができる。

 −少子化対策を成長戦略として位置付けるか。

 二之湯 子どもが減っている現象は、もう少し分析しなければならない。経済的理由で、子どもを持たない選択をされる方、結婚されても子どもを積極的に持たない方がいる。子どもの医療費無償化や不妊治療の助成など社会的投資だけでなく、それぞれの価値観で選ばれたことへの取り組みも考えなければならない。

 嘉田 希望する人が子どもを産み育てることができる環境整備をするのは社会の責任であり、成長の柱。女性に仕事か子育てかの二者択一を迫らないことで、きちんと子どもを産める状況をつくる。教育費の負担が重く、2人目、3人目を産めない人もいる。高等教育の無償化を実現し、人への投資を進めていきたい。

 −第2子、第3子が産まれるごとに、所得税を軽減するか。

 嘉田 賛成だが、所得税の軽減だけでは不十分。女性だけに子育てを押し付けられると、2人目、3人目は産みたくなくなる。知事任期中に保育園学童保育や、保育士確保の奨学金設置などに取り組み、出生率が大幅に上昇した。女性の有業率と出生率は正の相関。滋賀モデルを東京圏や大阪圏など全国に展開したい。

 二之湯 私も大賛成。社会保障と言えば、イコール高齢者という価値観が、永田町にも霞ケ関でも、国民にもあるが、今回消費税の使い道を子どもさんに振り向ける、全世代型の社会保障を実現できた。働き方にしても、男性中心主義的な価値観を改めない限り、仕事と子育てを両立できる社会になっていかない。

 −最も力を入れたい政策は。

 二之湯 世界中の政治家や経営者、学者の皆さん、リーダーと連携し、今のような弱肉強食型の資本主義ではだめだと、世界的なムーブメントをつくっていきたい。滋賀ではまさにSDGs、新しいライフスタイルにふさわしい環境との共生、持続可能な社会をつくっていくために、全力で頑張っていきたい。

 嘉田 命や暮らしが大事にされることを根本においた政治の仕組みをつくる。子育てや介護で苦しむ人に対し、父母や家族全体の経済的、精神的、社会的サポートをする子ども家族省を提案したい。また、災害を未然に防ぎ、命を守るために防災復興省を提案し、国交省や内閣府など縦割りの行政に横串を刺す。

 (参院選取材班)

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