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長野

<解説>自民一強歯止め、有権者が意識

2019年7月22日

 安倍政権の中間評価と位置付けられた今回の参院選で、信州の有権者は自民党に議席を与えず、野党統一候補の羽田さんに託す審判を下した。非改選分を含む定数二の長野選挙区は野党が独占するが、国会の議席は自民、公明の与党が依然多数を占める。公約実現に向け、まずは次期国会での対応が問われる。

 羽田さんは選挙戦で政権への対決姿勢を前面に打ち出し、安全保障関連法の廃止や現政権での改憲阻止、今秋の消費税増税の凍結などを訴えた。二〇一六年の前回選を大幅に上回る票差は、自民一強と指摘される現状に歯止めをかけたい有権者の意識の表れとも言えるだろう。

 選挙自体は野党連携が奏功した形だが、与党は特に共産を含む共闘を「選挙目当ての野合だ」と批判。与党が議席を失えば、道路をはじめとするインフラ整備などへの予算措置が滞り、県にも悪影響が及ぶとけん制し続けた。

 羽田さんは野合批判には「安倍政権打倒という志でまとまっている」と反論し、野党連携を強化する意欲を示したが、今回は前回選と異なり、候補者同士の公開討論会もなく、政策論争が深まったとは言い難い。公約実現の道筋を具体的に語る必要がある。

 参院議員は与野党の枠を超えた地域代表の色合いも濃く、選挙で激しく争った対立候補の支援者への目配りも欠かせない。低投票率が目立つ若年層の意見もどうくみ取るのか。五選を果たした今、政治責任はより重くなった。

 (我那覇圭)

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