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長野

<主な候補 終盤情勢>小松裕さん

2019年7月19日

 「完全に相手の肩をつかんだ。ぐいっと引いて、前に出なければいけない」。参院選の投開票日が四日後に迫った十七日。自民党新人の小松裕さん(57)は上田市のJR上田駅前で、真っ赤に日焼けした額に青筋を立てて力を込めた。

 傍らには、全国の応援演説で引っ張りだこの小泉進次郎衆院議員。小泉さんは四百人以上集まった聴衆に「ひょっとしたら、ひょっとする」と勝利をほのめかし、最後まで小松さんを支持するよう呼び掛けた。

 上田市は、事実上の一騎打ちとなっている相手候補、国民民主党現職の羽田雄一郎さん(51)のお膝元。同市など東信地域を中心とする衆院3区に限れば、過去の参院選で、羽田さんと戦った自民候補が最低でも二万票、最高で八万票の差をつけられてきた。

 小松陣営はこの因縁の地をどう攻略するかが勝敗を左右するとみて、組織戦を繰り広げてきた。

 八日には上田市に菅義偉(よしひで)官房長官も応援に入ったが、実動部隊は四月の統一地方選で一人から八人に大幅に増えた周辺地域の自民党県議たち。それぞれの後援会などに働き掛け、各地で開く集会の周知や準備、動員に励んだ。

 ある県議は「支援者には羽田さんを応援してきた人もいる。小松さんに肩入れすることへのお叱りもあったが、とにかく全力を尽くした」と説明。差を縮めている手応えを口にした。

 本紙が十四、十五日に長野選挙区の有権者を対象に行った終盤の情勢調査では、三割近くが態度を決めていないものの「羽田さん先行」の結果が出ている。

 最終盤に向けてどう追い上げるのか。陣営関係者は「手の届く範囲への運動は済んだ。残るは支持なし層の取り込みだ」と語る。

 目を向けるのが、小松さんが衆院議員時代に地盤とした長野市を含む北信地域の衆院1区だ。次期衆院選の公認候補予定者や県議らが支持拡大に奔走する。公示直前には党四役の一人が同市内の有力企業などのあいさつ回りをし、公示後は同じ派閥の茂木敏充経済再生担当相が二回入り、演説会をもり立てた。

 個人演説会場では、参加者に期日前投票に行くよう求め、特に自民党を支持する傾向が強いとされる若者への働き掛けも要請。東信地域で苦戦しても、小松さんが北信地域で盛り返す青写真を描く。

 小松さんも十八日朝、長野市中心部で行き交う人たちに握手を求め、企業の朝礼にも参加。市内四カ所で個人演説会などもこなした。「長野市はもともと政治活動をしていた場所。最後までできることをやり、大逆転を目指す」と強調した。

 (我那覇圭)

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