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長野

<主な候補 終盤情勢>羽田雄一郎さん

2019年7月18日

 「私たちの代表として、羽田さんに国会に戻ってもらおう」。十日、上田市で開かれた国民民主党現職の羽田雄一郎さん(51)の個人演説会で、五百人近い支援者らを前に、共産党の高村京子県議が呼び掛けた。

 共産は立憲民主、社民党とともに、野党統一候補として羽田さんを支持する。三年前の参院選長野選挙区に立候補した民進党(当時)新人の杉尾秀哉さん(61)を推薦した際、共産の国会議員や県議らは杉尾さんと一緒に街頭演説をしたが、個人演説会の壇上には立たなかった。羽田さんの地盤の衆院長野3区内では街頭演説もなるべく避けた。

 三年前になかった個人演説会などで応援演説する高村県議だが、「地元選出県議」と自己紹介するなど共産色を抑えている。「安倍晋三政権を倒すため必要な配慮はする」と説明する。

 背景にあるのは、羽田さんの後援会「千曲会」や連合長野に根強い共産アレルギー。衆院議員だった羽田さんの祖父武嗣郎さん(故人)の時代から支える千曲会幹部の一人は「支援者の多くが穏健な保守。共産との連携に違和感はある」と漏らす。

 野党連携は、長野選挙区の改選数が二から一に減った前回選で奏功し、杉尾さんの初当選につながった。衆院選でも統一候補を立てる協議を進めていたが、翌二〇一七年の衆院選では民進が希望の党(当時)に合流。衆院2〜5区では、希望候補と共産、社民系候補が対立する構図となり、特に4、5区では自民候補が当選する一因となった。

 羽田さんは今年一月、松本市であった共産、社民、市民団体との会合で「衆院選では多くの県民に失望感を与えてしまった。真摯(しんし)に受け止め、反省する」と述べた。超党派の議員連盟「みんなで靖国神社に参拝する国会議員の会」を脱会し、靖国参拝を疑問視するリベラル層に配慮を見せた。

 共産県委員会の鮎沢聡委員長は「(衆院選の)逆流を乗り越え、前回選より強い野党共闘となった」と強調するが、連合長野の幹部らが一緒に壇上に上がることはない。

 中山千弘会長は「野党は今、反自民の受け皿になりきれていない」と認め、羽田さんの勝利を最優先に「共産と一緒に活動はしない。共産が応援するのは構わない」との立場だ。

 羽田さんは本紙の調査で共産や社民支持層の票も固めつつある。総合選対幹事長で国民県連副代表の倉田竜彦さん(74)は「安倍政権下での改憲反対など政策で一致した。決して野合ではない」と強調する。三年前の前回選比例代表などで県内で十万票以上を獲得した共産など、幅広い政権批判票を取り込んで票の上積みを狙っている。

 (渡辺陽太郎)

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 参院選長野選挙区は現職一人、新人三人の計四人が立候補し、事実上、与野党の一騎打ちとなっている。選挙戦も終盤を迎え、一議席を巡って争う主要候補の戦いぶりを二回に分けて紹介する。

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