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長野

<私の主張>(上)安倍政権の評価

2019年7月9日

※上から届け出順

 二十一日投開票の参院選長野選挙区(改選数一)に向け、本紙は、事実上の一騎打ちとなった国民民主党現職の元国土交通相羽田雄一郎さん(51)と自民党新人の元衆院議員小松裕さん(57)に安倍政権の評価や当選後に実現したい政策などを尋ねた。三回に分けて紹介する。NHKから国民を守る党員で社会保険労務士の古谷孝さん(43)は、選挙運動について「政見放送と選挙公報と新聞広告で行う」と説明。同選挙区には、労働者党県支部長で元高校教諭の斎藤好明さん(69)も立候補している。

 三年ごとに改選される参院選は、その時の政権の中間評価の機会とも位置付けられる。安倍晋三政権について、羽田さんは、政府・与党が国会で強行採決を繰り返したとして「民主主義を破壊している」と批判。小松さんは、経済状況の好転や外交実績を挙げ「高く評価されるべきだ」と強調した。

 羽田さんが引き合いに出したのは、集団的自衛権の行使を認めた二〇一五年の安保関連法の審議。成立を目指す政府・与党と民主(当時)などの野党が激しく対立。国会外にも反対する多くの市民らが詰め掛けたが、最後は自民、公明両党などの賛成多数で可決、成立した。

 羽田さんは「第二次安倍政権になり、国民を無視し、国会を軽視している」と切り捨てつつ、参院で与党などの改憲勢力が三分の二以上の議席を占める現状について「責任は野党にもある。参院選で安倍首相を退陣に追い込まないといけない」と力を込めた。

 小松さんは、安倍政権で有効求人倍率が全都道府県で一倍を超えたと指摘。外交面では米トランプ大統領との蜜月関係をアピールし、六月の20カ国・地域首脳会議(G20大阪サミット)の議長も務めた首相について、「多国間の経済交渉をリードし、各国首脳との信頼関係の下、国際社会での存在感が増している」と主張した。

 政権運営に当たっても、自民党内の多様な意見を踏まえて政策を進めていると強調。旧民主党政権を念頭に「個々の意見の集約に失敗して空中分解した前政権に比べて高く評価されるべきだ」と切り返した。

◆民主主義を破壊した 羽田雄一郎さん(51)=国現

 民主主義を破壊しており、評価できない。第一次安倍内閣の頃は、野党や国民の声も少しは届いていた気がする。だが第二次安倍内閣になり変わった。国民を一切無視し、国会を軽視。政治を首相官邸主導で進めている。

 与党の自民、公明党の声すら届いていない。首相の諮問機関の会議が提言したものが、そのまま閣議決定され、法案となる。ほとんど審議されないまま、強行採決を繰り返している。

 特にひどかったのは二〇一四年、国会での議論がないまま解釈の変更で、集団的自衛権の行使を認める閣議決定をしてしまった。それに伴う安保法制も、多くの国民が大反対し、国会を何日も取り囲むような状況の中で、強行採決をした。「あまりにひどいではないか」という思いを持った。

 現状で(改憲の国会発議に必要な)衆参三分の二の議席を改憲勢力に持たれてしまっている。この責任は野党にもある。この参院選で安倍首相を退陣に追い込まないといけない。

◆停滞状態を一転させた 小松裕さん(57)=自新

 政権交代までの経済も外交も先行きが見えない、閉塞(へいそく)感の漂う停滞した状態を一転させたことは大きく評価されるべきだ。経済では国内総生産(GDP)をはじめ、雇用では全都道府県で有効求人倍率が一倍を超え、国民所得も大幅に改善し、いずれも過去最高の水準となっている。

 頻発する自然災害にも迅速に対応し、外交でも多国間の経済交渉をリードしている。各国首脳との信頼関係の下、国際協調を基軸とした友好な関係の構築によって国際社会での存在感が増し、わが国の国益にもつながっている。

 自公政権では党内で多様な意見による激しい議論が行われているが、結論を出したらそれぞれが納得して、政策、施策のより良い実現のために一致して進むことができる。政権担当能力は、個々の意見の集約にその都度失敗して、空中分解した前政権に比べて高く評価されるべきだ。

主な政党の公約

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