<候補者の横顔>(上)
2019年7月6日
21日投開票の参院選長野選挙区(改選数一)には、現職1人と新人3人が立候補した。それぞれの横顔を届け出順に2回に分けて紹介する=上から届け出順。
◆子どもが大好き、原点 羽田雄一郎さん(51)国現
祖父も父も衆院議員の政治家一家に生まれたが、若い頃は「政治家になろうなんて考えたこともなかった」と振り返る。
大の子ども好きで、玉川大では保育士資格を取った。卒業後は青少年の健全育成に取り組む伊藤忠記念財団に入り、子ども向け書籍の購入助成事業などで全国を駆け回った。
各地の母親らの悩みに接し、父の孜元首相(故人)を通じて中央省庁に陳情したこともあった。「声をつないで実現させる。その手助けができる」と父の秘書になった。
予想外の転機が訪れたのは一九九九年。参院長野選挙区補選の告示直前、当時の民主党が擁立予定だった候補が立候補を辞退。急きょ立候補することになり、初当選を果たした。
それから四期二十年。党の参院幹事長や役員室長など立場は変わっても「子ども第一」は忘れなかった。国土交通相時代には、東日本大震災の復興事業で現地の子どもの意見を生かし、バス高速輸送システム(BRT)を導入した。
長女(3つ)と触れ合い、趣味の宝塚歌劇団の観劇をして英気を養う。座右の銘は、高校入学前に父から贈られた色紙の言葉「克己」。
◆社会科教諭一筋38年 斎藤好明さん(69)諸新
一浪を経て「授業料の安かった」東京教育大(現筑波大)の哲学科に進んだ。父が教員で「なんとなく教員になるかな」。県職員の採用試験にも合格したが「自身の勉強をする時間がある」と教諭の道を選んだ。
県立高校の社会科教諭として三十八年間、北信地域を中心に勤務した。バブル経済の崩壊以降、不登校になったり退学したりする生徒に多く接し、教師の仕事の重要性に気付いた。
友人関係の悩みや経済的な理由などで修学旅行に行けない生徒もいた。家庭訪問をして説得もしたが、その場限りの対処しかできないこともあった。「個人の責任でなく社会状況が影響している。教諭の経験が(政治家を目指す)エネルギーになっているところはある」と振り返る。
趣味は読書。政治や経済関連の書籍が主で、大学時代から政治団体「労働の解放をめざす労働者党」前身組織の機関紙に親しんだ。
定年退職後は週六日、母が暮らす栄村の実家で過ごし、アスパラガスやジュース用トマト、米などを栽培する。うろこ雲や稲刈り、雪景色など季節や時間によって移ろう村内の自然をスマートフォンで撮影するのがマイブーム。