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三重

大物来県、功を奏す 本紙出口調査

2019年7月22日

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 中日新聞社は21日、県内60カ所の投票所で、有権者2743人に出口調査をした。投票率が2016年を下回る中、自民現職の吉川有美さんが与党支持層の票を手堅くまとめた。野党統一候補の芳野正英さんは支持政党を持たない層の票を集めたが、広がりに欠けた。

 自民現職の吉川さんは自民支持層の83・4%、公明支持層の74・2%を取り込んだ。自公の支持層が回答した有権者の43・9%を占める中、自民の党本部が激戦区と位置付け、安倍晋三首相や菅義偉官房長官らを応援演説に送り込んだ選挙戦が功を奏した。

 野党統一候補の芳野さんは野党票を固めた。各政党の支持層では立憲民主の85・1%、国民民主の74・6%、共産の78・5%、社民の81・1%を取り込んだ。政党支持なし層でも58・2%が芳野さんに投票し、吉川さんの35・6%を上回った。

 ただ、野党共闘に加わった立民、国民、共産、社民の支持層の合計は回答した有権者の24・2%にとどまり、政党支持なし層も18・4%だった。有権者の関心が高まらなかったこともあり、三年前のように共闘成果を発揮できなかった。

 年代別では、吉川さんが十〜五十代、八十代以上の幅広い世代から支持を集めた。芳野さんは六十〜七十代で吉川さんと互角だったものの、二十〜五十代で伸び悩んだ。

 比例代表では、政党支持なし層の24・4%が自民、9・1%が公明、21・6%が立民、7・1%が国民、6・7%が共産、10・9%が日本維新の会に投票。れいわ新選組は7・5%を取り込み、政党支持なし層から一定の支持を得た。

◆3年前投票先「忘れた」人が自民に流れる

 三重選挙区で自民候補と野党統一候補が対決するのは、二〇一六年に続いて二回目。出口調査で三年前の投票先を聞くと、前回の投票行動にこだわっていない人の票の多くが自民に流れたことも、選挙区の結果に影響したとみられる。

 三年前、野党統一候補として当選した芝博一さんに投票したと回答したのは、四人に一人(25・5%)。このうち75・1%は、今回の野党統一候補の芳野さんに投票した。非自民票の多くが引き続き流れたことがうかがえる。

 吉川さんは、三年前に自民候補に投票したと答えた人(16・0%)のうち、88・6%から票を得た。

 明暗を分けたのは、三年前について「投票先を忘れた」と答えた人(39・9%)の投票先。54・7%は吉川さんに投票し、芳野さんの38・9%を上回った。比例代表でも三年前の投票先を「忘れた」人の39・4%が自民と回答した。

◆「年金」重視、49.8%で最多 消費増税「反対」が上回る

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 有権者が投票で最も重視した政策(二つ選択)は「年金」が49・8%で最も多かった。「教育・子育て」が22・5%で続き、「消費税増税への対応」「介護など高齢者福祉」「改憲の是非」「経済・雇用政策」も15〜20%の関心を集めた。

 「年金」を最も重視すると答えた人のうち、選挙区では50・3%が吉川さん、44・4%が芳野さんに投票した。比例代表では自民に投じた人が37・0%にとどまった。「教育・子育て」を挙げた人の選挙区投票先は吉川さんが60・7%、芳野さんが35・0%だった。

 年代別では、五十代以上は「年金」が突出して多かった一方、十〜四十代は「教育・子育て」を挙げた人が多かった。

 「改憲の是非」と答えた人の半数が芳野さんに投票しており、憲法改正を掲げる安倍首相への賛否が分かれた。

 消費税を8%から10%に引き上げることの問いには、「反対」と答えた有権者が45・7%を占め、「賛成」の29・3%を上回った。比例代表で自民に投票した人のうち、消費税増税に「賛成」と答えたのは43・4%だったが、「反対」も31・8%に上った。

 「経済・雇用政策」を重視する人の46・9%が自民を選択し、安倍政権の経済政策「アベノミクス」へ関心を寄せる人が多かったことがうかがえる。

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