• 中日新聞ウェブ
  • 中日新聞プラス

三重

皇学館大生に聞く争点 「選択」の基準は

2019年7月18日

 参院選は二十一日に投開票される。新聞を読みながら時事問題を話し合う「新聞カフェ」に参加している皇学館大(伊勢市)の学生四人に、「選択」を間近に控えて何を基準に投票先を選ぶのか、ホットな話題となっている年金問題をどう捉えているのか、を聞いてみた。

◆改憲 青勇佑さん(21)=現代日本社会学部3年

 憲法九条に自衛隊を明記することに賛成だ。違憲な組織としていることが、はたして良いことなのか。日米安保の問題も、「米国が守ってくれるから大丈夫」と安心しているだけではだめ。専守防衛にこだわらず、「攻撃する/守る」ということを法律でその都度線引きして決めていった方がいいのではないか。

◆原発 松田大地さん(20)=文学部3年

 実家が浜岡原発(静岡県)の三十キロ圏内にあり、地元のためにも原発は反対。仮に福島と同じことが起きたら政府はどう責任を取るのか。福島県で固定資産税の減額が二〇二一年度で終了するが、住めない場所に税金を払わされること自体おかしい。全原発廃炉に取り組むドイツのような考えに、日本は至らないのか。

◆消費税増税 古井真澄さん(21)=文学部3年

 安倍晋三首相が言うように増税の2%分が社会保障に充てられるなら、10%への消費税率の引き上げには賛成だ。十月から施行される幼児教育・保育の無償化に伴って保育所の利用者が増え、保育士不足の問題も今以上に深刻化する。増税分で保育士の給与を上げるなど待遇改善を図り、人材の確保につなげてほしい。

◆税収減り所得下がる 若山裕紀さん(21)=文学部3年

 増税には反対だ。消費税のデメリットを調べると、一九九七年の5%への税率引き上げで、国内総生産(GDP)が下がったというデータがある。消費が冷え込んでしまうと所得税や法人税が減ってしまい、個人の所得も下がる。結果として全体の税収が下がってしまうならば増税はしない方がいいと思う。

◆年金問題は?

 学生にとって、公的年金制度を学ぶ機会は少ない。「二十歳になって急に国民年金の保険料を支払えと言われても実感がわかない」「今は親が保険料を払っているので、年金の仕組みも保険料の金額も全く知らない」。それでも政府がうたう「百年安心」に、率直な疑問を投げ掛けた。

 四人は「将来、自分が年金を受け取るためにも保険料は払う」と口をそろえるが、少子高齢化が進んで保険料が引き上げられれば「生活に支障が出るかもしれない」と不安も漏らす。

 では、老後資金として年金のほかに「二千万円」が必要との試算が盛り込まれた金融庁の報告書をどう考えるのか。

 古井さんは「何歳まで生きるか分からないから、どれだけ貯蓄すればいいのかも見当がつかない」。松田さんは定年後も働き続けることを視野に入れる。「今は再雇用で働いている人も多い。ただ、高齢になっても動ける人はいいが、そうでない人はどうすればいいのか」と指摘した。

 報告書が現役時代から分散投資での資産形成を推奨していることへの言及も。青さんは「『自助』も考えなくてはいけないと思う。国民に投資を勧めるなら、行政主導で投資講座を開くなどしてもらいたい」と要望。若山さんは「株の売買の手数料を下げて投資をすすめる手もある」としながら、「元手がない人への対策が見えない」と話した。

 (足達優人)

主な政党の公約

新聞購読のご案内